セッション情報 シンポジウム19(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

GERDにおける内視鏡診療の進歩

タイトル 消S19-7:

PPI抵抗性GERDに対する内視鏡治療 -ESDを応用した噴門形成術の成績-

演者 太田 和寛(大阪医大・2内科)
共同演者 時岡 聡(大阪医大・2内科DELIMITER第一東和会病院・消化器内科), 梅垣 英次(大阪医大・2内科)
抄録 目的:胃食道逆流症(GERD)は,薬物治療が第1選択であるが,長期にわたり内服の継続が必要な疾患である.そこで内視鏡によるendoluminal surgeryでGERDを治療しようと試み,数種類の治療法が開発され臨床応用されてきている.当科ではEndoluminal gastroplication(ELGP法)を16例に行い良好な成績であった.しかし,これらの内視鏡治療は欧米の考え方に左右され,今後日本独自の方法を開発し確立していかなければならない.我々は,GERD患者の逆流症状の改善及び内服治療の軽減,中止をはかることを目的として,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を用いた新たなGERDの内視鏡治療(ESDG)を考案したので報告する.方法:ESDGは通常の内服治療では消失しないGERD症状を有し,同意の得られた7例を対象に施行した.食道胃接合部の胃側粘膜を中心に約1/2周にわたりESDを施行することにより人工的な潰瘍を作成した.その後,潰瘍が瘢痕収縮治癒する過程で食道胃接合部は狭小化し,いわゆる内視鏡治療による噴門形成術を行った.本法による治療前後のGERD症状,内服薬の量,食道pH,食道内圧,安全性を評価した.尚,ESDGは施設内倫理委員会に申請の上,承認されている.結果:(1)ESDGによる重篤な偶発症は認められなかったが,1例で軽度通過障害が生じた.(2)ESDG術後,自覚症状は全員が軽減した.(3)2例で内服薬の減量が可能であった.(4)術後食道内pH測定を行った症例では,術前と比較し,pHが上昇傾向にあった.(5)1例で食道内圧測定にてLES圧が術前より術後に上昇した.(6)ELGPでは適応外のLA分類GradeDの食道炎の症例にも施行可能であると考える.結論:GERD患者に対するESDの技術を応用したESDGは,GERD症状の改善が認められ,新たなGERDの内視鏡治療となりうる可能性が示唆された.
索引用語 GERD, ESDG