セッション情報 シンポジウム21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Colitic cancer を克服する

タイトル 消S21-3:

当科における潰瘍性大腸炎サーベイランス内視鏡の時代的変遷

演者 岸川 純子(東京大・腫瘍外科)
共同演者 風間 伸介(東京大・腫瘍外科), 渡邉 聡明(東京大・腫瘍外科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)長期経過例では大腸癌合併リスクが高いためサーベイランス内視鏡(SC)が推奨されており,当科でも1979年より導入している.近年内視鏡の進歩により従来視認困難であった病変が視認可能となり,各国ガイドラインもstep biopsy(SB)からtarget biopsy(TB)を重視する方向に変化してきている.今回当科SC症例を後ろ向きに検討し,年代別に病変の特徴を明らかにする.【方法】当科SCでは全大腸炎型・左側大腸炎型症例に対し年1回全大腸内視鏡を施行し,10cmおきのSBと有所見部からのTBを併用し,S状結腸より肛門側には色素内視鏡を施行している.1979-2012年に癌/dysplasiaと診断され当院で手術を施行された症例39例中,SCで診断された症例(SC群)は23例(59%),非SC群は16例(41%)であった.39例中のSCで診断された症例の比率を各年代間で比較し,SC群23例中の病期の分布を各年代間で比較した.また診断時の生検方法につき検討した.【成績】39例のUC発症年齢中央値は34歳(15-62),病悩期間は16年(5-50).1例が左側大腸炎型で他は全大腸炎型.SC群:非SC群の症例数は1999年以前が10:12例,2000年以降が13:4例で,SCで診断される症例が増加傾向であった(P=0.099).またdysplasia:m癌:浸潤癌の各症例数は,非SC群では1999年以前が1:3:8例,2000年以降が0:0:4例で年代間の有意差は認めなかったが(P=0.41),SC群では1999年以前が1:5:4例,2000年以降が6:2:5例でより早期の段階で診断される割合が増加傾向であった(P=0.086).また39例中,SBで病変が発見された症例が4例(17%)あり,うち2例ではその近傍にsm以深浸潤癌が存在していた.【結論】近年より多くの病変が早期に診断可能となっていることが示唆されたが,SBで同定される病変もありTBのみでSCを行うのは現時点では時期尚早と考えられる.文献的考察を加えて報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, サーベイランス内視鏡