セッション情報 シンポジウム21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Colitic cancer を克服する

タイトル 内S21-4:

狙撃生検例からみた潰瘍性大腸炎関連腫瘍の内視鏡的特徴~非腫瘍性病変との鑑別に有用な所見は?~

演者 西山 宗希(広島大・内視鏡診療科)
共同演者 田中 信治(広島大・内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎 (UC)患者におけるUC関連腫瘍/非腫瘍性病変の鑑別に有用な内視鏡所見を明らかにする.【対象】1999年7月~2012年5月UC患者に対するサーベイランス内視鏡時にUC関連腫瘍を疑い狙撃生検を施行した進行癌を除く, 52例 61病変 (M癌5例5病変, SM癌3例3病変, dysplasia 10例11病変, 非腫瘍性病変34例42病変)を対象とした. これらについて, 病理学的所見をブラインドの状態で, 卒後10年以上の消化器内視鏡専門医5人が各内視鏡的所見について検討した. 通常観察では, 背景粘膜の活動性炎症の有無, 色調, 領域性の有無, 腫瘍形態, 表面性状, 易出血性の有無を, 色素拡大観察では, 周囲と比較してのpit密度, pitの均一性, pit辺縁, pit構造消失の有無について, UC関連腫瘍群 (A群), 非腫瘍性病変群 (B群) 別に比較検討した.【結果】通常観察では, 活動性炎症あり: A群68% (6/19), B群57% (24/42), 色調 (正色/褪色/発赤): A群 32% (6/19)/ 26% (5/19)/ 42% (8/32), B群 31% (13/42)/ 12% (5/42)/ 57% (24/42), 領域性あり: A群79% (15/19), B群60% (25/42), 腫瘍形態: 陥凹型A群11% (2/19), B群7% (3/42), 表面性状 (平滑/ 顆粒状/ 絨毛状/ 分葉状) : A群 21% (4/19)/ 42% (8/19)/ 37% (7/19)/ 0% (0/0), B群 33% (14/42)/ 52% (22/42)/ 12% (5/42)/ 3% (1/42), 易出血性あり: A群16% (3/19), B群12% (5/42)で, いずれも両群で有意差を認めなかった. 色素拡大観察では, pit密度高: A群89% (17/19), B群60% (25/42), pit不均一: A群63% (12/19), B群50% (21/42), pit辺縁不整: A群63% (12/19), B群33% (14/42), pit構造消失あり: A群16% (3/19), B群0% (0/42)で,「pit密度高」,「pit辺縁不整」の割合はB群よりA群で有意に高かった. 【まとめ】UC関連腫瘍と非腫瘍性病変の鑑別は通常観察のみでは困難であったが, 色素拡大観察による「pit密度高」,「pit辺縁不整」所見がUC関連腫瘍の診断に有用と考えられた.
索引用語 UC関連腫瘍, 拡大観察