セッション情報 シンポジウム21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Colitic cancer を克服する

タイトル 消S21-7:

Crohn病に合併した下部消化管腫瘍の検討

演者 池上 幸治(九州大・病態機能内科)
共同演者 江崎 幹宏(九州大・病態機能内科), 松本 主之(九州大・病態機能内科)
抄録 【目的】Crohn病(CD)の下部消化管腫瘍合併に関連する臨床的因子ならびに腫瘍の画像所見について検討する.【対象と方法】1970年以降当科でCDと診断され,詳細な臨床経過が検討可能であった311例のうち,小腸ないし大腸に上皮性腫瘍を合併した症例は9例 (癌7例,腺腫2例)であった.このうち,散発性大腸癌と考えられた2例を除外した7例を腫瘍合併CDとし,腫瘍非合併CD 302例と臨床像を比較した.また,腫瘍合併CDでは,X線・内視鏡所見を遡及的に評価し,画像所見の特徴ならびに経時的推移を検討した.【結果】腫瘍合併CD 7例における腫瘍診断時年齢の中央値は47歳(32~59歳),腫瘍診断までのCD罹病期間の中央値は14年(0~32年)で,CD診断と同時に腫瘍合併が診断された1例を除き全例が10年以上の長期経過例であった.腫瘍合併CDと腫瘍非合併CDの臨床像を比較すると,腫瘍合併CDで大腸癌家族歴を有する頻度が高い傾向にあった(p=0.069).なお,抗TNF-α抗体製剤投与例が156例存在したが,腫瘍合併例は認めなかった.腫瘍は2例で小腸に,5例で大腸に認められ,直腸肛門部癌が3例と多かった.管腔の高度狭窄を呈し手術が施行された空腸癌と上行結腸癌では,X線下に急速な管腔狭窄の進行と狭窄部辺縁の粗大結節状隆起を指摘し得た.腸閉塞症状ならびに肛門部痛を来した肛門部癌2例では,1例は肛門部疣贅と思われた部位からの外科的生検で悪性組織が検出され,残る1例は痔瘻根治術施行時に癌と診断された.また,腸管病変の評価目的で行われた検査で腫瘍性病変が指摘された3例では,いずれも腫瘍部に絨毛状の表面構造が確認された.【結論】CDの下部消化管腫瘍合併は長期経過例に多く,大腸癌家族歴が危険因子となる可能性が推測された.また,CD関連腫瘍性病変の診断には,生検を併用した直腸肛門部の詳細な観察,ならびに管腔狭窄の進行度に着目することが重要と思われた.
索引用語 Crohn, 癌