セッション情報 シンポジウム21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Colitic cancer を克服する

タイトル 内S21-10:

クローン病に合併する発癌症例の現状と課題

演者 池内 浩基(兵庫医大・炎症性腸疾患センターDELIMITER兵庫医大・外科(下部消化管外科))
共同演者 内野 基(兵庫医大・炎症性腸疾患センターDELIMITER兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 松岡 宏樹(兵庫医大・炎症性腸疾患センターDELIMITER兵庫医大・外科(下部消化管外科))
抄録 (目的)最近,クローン病(CD)に合併する発癌症例が増加しているが,進行癌が多く,予後は極めて不良である.そこで,当科で経験したCDに合併した発癌症例の臨床的特徴を検討し,現状と予後改善の可能性がある病変を明らかにすることを目的とした.(対象)対象は2012年12月までに当科で経験したCDに合併した発癌症例26例である.(結果)1.臨床的特徴:1)性別:19/7 2)初発年齢:23.5(11-60)歳3)発癌までの病悩期間19.0(6-37)年であった.4)診断年度:最近5年間(2008-2012年)に診断された症例が17/26(65.4%)と多数を占めた.2.病変部位は瘻孔部(4例)内瘻部3,外瘻部1 腸管(22例)回腸1,盲腸1,直腸6,肛門管(直腸型)7,肛門管(痔瘻に合併)7と直腸肛門部に20/26(77%)の症例が発症していた.3.病変部位と術前診断率:直腸肛門部の発癌症例では13/20(65%)の症例で術前診断が可能であったが,それ以外の病変は回腸膀胱瘻部から発癌し,血尿のために膀胱鏡検査で診断のついた1例のみで,術前診断率は1/6(16.7%)でった.4.組織型:組織型は多彩であるが,直腸肛門部に発癌した20例では10例が粘液癌で,MIRによるモザイク像(粘液湖)が存在し,術前診断に有効であった.5.治療:切除不能痔瘻癌1例を除いて主病変の切除が行われ,直腸肛門病変に合併した症例では7例に術前放射線化学療法が併用されていた.6.予後:瘻孔部などstage分類ができない症例を除いて検討すると無再発生存率はstage1:100%, stage2:50%, stage3a0%であり,累積5年の生存率は36%であった.(結語)1. 直腸よりも口側の病変に関しては,術前診断は困難であるため,CD発癌症例の予後の改善には,直腸肛門病変に重点を置いてサーベイランスを行うべきである.2.直腸肛門病変からの発癌症例は粘液癌が多く,MRIが有用である.10年以上肛門病変を合併する症例では定期的にMRI+組織診行うことで予後が改善する可能性がある.
索引用語 クローン病, 発癌