セッション情報 シンポジウム22(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌内視鏡治療・鏡視下手術後の再発病態と対策

タイトル 外S22-3:

結腸/RS癌における鏡視下手術CurA後の再発病態の検討;同時期開腹手術との比較

演者 志田 大(国立がん研究センター中央病院・大腸外科)
共同演者 山本 聖一郎(平塚市民病院・外科), 金光 幸秀(国立がん研究センター中央病院・大腸外科)
抄録 【背景】大腸癌に対する鏡視下手術が急速に広まりつつある本邦の現状において,安全性や短期成績のみならず,その長期成績や再発病態に関する質の高い検討が必要とされている.【目的】当院でCurA手術を行った結腸/RS癌症例で,鏡視下手術症例と同時期の開腹手術症例とを比較し,鏡視下手術の安全性と長期成績を明らかにする.【対象と方法】対象は1994年7月~2008年に施行した鏡視下手術576例(Stage 0:n=67,Stage I:n=303,Stage II:n=75,Stage IIIa:n=110,Stage IIIb:n=21)および同時期の開腹手術2173例(Stage 0:n=41,Stage I:n=428,Stage II:n=771,Stage IIIa:n=661,Stage IIIb:n=272).Stage別による累積再発出現率,再発形式,再発時期,再発治療を比較検討した(追跡期間中央値:5年7か月).【結果】鏡視下手術例のStage別3年累積再発出現率はそれぞれStage 0:0%,StageI:1.5%,StageII:16.8%,StageIIIa:8.6%,StageIIIb:14.3%であり,同時期の開腹手術例のそれは,Stage 0:0%,StageI:2.3%,StageII:8.6%,StageIIIa:17.0%,StageIIIb:39.3%であり,Stage IIではアプローチ法の違いで累積再発出現率に有意な差を認めた.5年累積再発出現率での比較も同様の結果であった.鏡視下手術後再発25例の初回再発部位は,肝単独13例,肺単独8例であり,原発巣近傍の再発としては吻合部再発を1例認めた.鏡視下手術後再発までの時期は4か月~6年半であり,再発した症例のうち64%が初回手術後3年以内,88%が5年以内に再発していた.また,鏡視下手術例の中でリンパ節検索個数,郭清度,手術時間をサブグループ化して比較した場合,群間で累積再発出現率に差は認めなかった.【結論】大腸癌治療ガイドラインで鏡視下手術が推奨されている結腸/RS癌Stage0~Iに対しては,鏡視下手術は十分に容認できると思われるが,StageII 以上の症例ではさらなる慎重な検討が必要である.
索引用語 大腸癌鏡視下手術, 再発病態