セッション情報 シンポジウム22(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌内視鏡治療・鏡視下手術後の再発病態と対策

タイトル 外S22-6:

腹腔鏡下大腸癌手術症例の再発例の検討

演者 福永 光子(高野病院・消化器外科)
共同演者 緒方 俊二(高野病院・消化器外科), 山田 一隆(高野病院・消化器外科)
抄録 [目的] 当院では1993年よりcT1cN0症例を対象に腹腔鏡下手術を導入し,現在までにcT3cN2症例および側方郭清を要しないRbP症例まで適応を拡大してきた.腹腔鏡下手術の割合は大腸癌全症例の約40%で,手術成績は開腹術と同等である.今回,腹腔鏡下大腸癌手術の再発例の特徴と再発危険因子について検討する.[対象と方法]2005~2011年の当院における結腸癌および直腸Ra癌の初回手術例で病理学的にCurA&Bとされた腹腔鏡手術170例,開腹手術280例を対象とし,(1)腹腔鏡下手術の再発形式について開腹例との比較を行い,(2)腹腔鏡下手術例の再発例12例と非再発例158例の臨床病理学的因子(性別,年齢,占拠部位,組織型,脈管浸潤,深達度,腫瘍径,進行度,補助化学療法の有無)を比較し,再発危険因子について検討した.[結果](1)腹腔鏡下手術:再発率7.0%(12例)血行性転移7例,リンパ行性転移1例,腹膜播種3例,吻合部再発3例 開腹手術:再発率15%(43例)血行性転移25例,リンパ行性転移10例,腹膜播種8例,吻合部再発3例,局所再発3例,そのほか1例(いずれも重複あり).再発形式には有意差を認めなかったが,腹腔鏡下手術では有意にstageIIでの再発例が多く(p=0.0092),いずれもT3&T4a症例であった.(2)腹腔鏡下手術例ではT3&T4aが有意な再発危険因子であった.(p=0.0138)[考察]port site recurrenceは認めなかったが,腹膜播種を3例(1.7%)に認め,全例T4aであった.また血行性及びリンパ行性転移はT1&2症例にも認められた.これらのメカニズムは,術中操作によるimplantationや気腹による腫瘍細胞の散布,腫瘍部を把持することでの腫瘍細胞の血中・リンパ管への揉み出しなど諸説報告があるが,従来開腹術において再発を来さないために重要とされてきた手術操作等については同様の対応が必要と考えられる.[結語]腹腔鏡下大腸手術の再発例の特徴と再発危険因子について検討し,腹腔鏡下手術では開腹術に比べ,より早期の進行度から再発を認め,その危険因子としてT3&T4が同定された.
索引用語 腹腔鏡下大腸手術, 再発