セッション情報 | シンポジウム22(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)消化器癌内視鏡治療・鏡視下手術後の再発病態と対策 |
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タイトル | 内S22-8:ESD後再発病変の病態と治療戦略 |
演者 | 布袋屋 修(虎の門病院・消化器内科) |
共同演者 | 飯塚 敏郎(虎の門病院・消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科) |
抄録 | 【背景】 ESD後再発に対するESDは高度で広範な線維化によって,粘膜下層剥離の技術的難易度は極めて高く,その安全性と根治性についての評価が必要である.ESD後の遺残再発予防も重要であり,その原因となる側方断端(LM)陽性不完全切除例に対する治療戦略を構築する必要がある. 【目的】ESD後の局所遺残再発の病態を明らかにし,LM陽性例の遺残再発予防対策として行ったESD直後のadditional ESD(adESD)および局所再発した病変に対するESD(recESD)の成績を評価する. 【方法】2013年3月までにESDを行った2042病変を対象とし,局所遺残再発の病態およびadESDとrecESDの短期成績と長期成績をretrospectiveに検討した. 【成績】2042病変中,ESD後LM陽性と判断された病変は56病変.11病変に対し直後にadESDを行い(平均9日後),癌遺残を5病変に認めた.残り45病変のうち,18病変は追加外科手術を施行し癌遺残を7病変に認めた.経過観察となった27病変のうち8病変に局所再発を認め,(平均685日後),全体の局所遺残再発率は35.7%(20/56)であった.局所再発うちの5病変にrecESDを行った.これと他院紹介や副病変による再発例10病変を合わせ,計15病変(原病変再発11例,副病変再発4例)に対してrecESDを行った.adESD11;recESD15で腫瘍サイズ/切除サイズは14.1/57.8mm;19.4/44.4mm,平均治療時間は141.6;114.6分,一括完全切除率は81.8;80.0%,後出血率は0;0%,穿孔率は0;6.7%であった.ESD後の再発病態として.recESDの80%(12/15)はm,13.3%(2/15)はsm1,6.6%(1/15)はsm2で,治癒切除率80%(12/15)であった.非治癒切除の1例の理由はESD後に数回再発を繰り返し,sm2となった症例であり,残り2病変はrecESDの結果,LM陽性にて非治癒と判定した.adESD,recESDとも現在まで局所再発や遠隔転移を認めていない(平均観察期間1178.3日;1000.1日). 【結論】 ESD後LM陽性は約35%で局所遺残再発を来すため,潰瘍が完全に瘢痕化しrecESD困難となる前に可及的速やかなadESDが遺残再発予防に有用である.再発を来した場合はrecESDが有用である. |
索引用語 | ESD後再発, ESD後ESD |