抄録 |
【目的】当科では切除可能なすべての食道癌に対し胸腔鏡下手術(以下VATS)を施行している.今回VATS後の再発形式と再発後の治療成績を検討した.【方法】側臥位で胸腔鏡を用い縦隔徹底郭清を行った.剥離断端陽性時は術後化学放射線療法を併用した.術後は病期Iまでは1年毎,病期II以上は6月毎のCTで再発有無を検索した.【成績】2003年1月より2012年12月までに152例にVATSを行った.治癒切除完遂例の病期別全5年生存率は0: 76.8%, I: 81.5%, II 82.6%, III 56.6%, IV(4年) 55.7%,非根治手術は4年生存23.7%であった.鏡視下完遂45/146例(30.8%),根治手術30/130例(26.9%),非根治手術10/16例(62.5%)に再発を認めた.再発までの平均期間は353±402日で1例を除き2.5年以内に再発した.根治手術病期別再発率は0: 4.1%, I: 12.5%, II 18.8%, III 43.7%, IV 66.6% であった.初回再発部位は 局所4例(2.7%) リンパ節 22例(15.1%) 血行性 19例(13.0%) 播種6例(4.1%)Port site 1例(0.68%)であり複合再発を9例に認めた.縦隔郭清範囲内リンパ節再発は8例(106recL:4例,106recR:1例,106tbL:1例,111:1例,112:1 例) 5.5%と低率であった.郭清範囲外リンパ節再発部位は頚部7例,腹部大動脈周囲6例,気管前5例,胸部大動脈背側4例であった.リンパ節単独再発18例のうち5例に手術,12例に放射線照射を施行した.定位放射線療法を5例に施行し,再々発巣にも施行可能であった.肺転移12例中4例が切除可能であり切除後全例無再発であった.再発後全3年生存率は全体45例:22.9%, 血行性再発:23.9%,リンパ行性再発:65.6%,複合性再発:0%, 再発巣切除:51.9%, 放射線療法:19.9%であった. 【結論】側臥位VATSは局所制御性が高く病期IIまでは高い根治性が得られる.再発は術後2.5年以内が多く,病期III以上や非根治例では術後の検索が重要である. 限局した肺転移や頚部リンパ節転移再発には切除が有効である.切除困難な再発巣に対する定位放射線療法は局所制御性も高く安全に繰り返し施行可能である. |