セッション情報 |
シンポジウム22(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
消化器癌内視鏡治療・鏡視下手術後の再発病態と対策
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タイトル |
外S22-10指:肝臓内視鏡手術時代到来に向けての肝細胞癌治療 -系統治療の必要性-
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演者 |
片桐 聡(東京女子医大・消化器外科) |
共同演者 |
有泉 俊一(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
【目的】肝臓内視鏡手術はまだ発展途上である.当科では現在までに81例に腹腔鏡下(補助下)肝切除を施行したが,2012年では肝切除195例中24例(12.3%)のみで未だに定型手術には至っていない.その理由として,腹腔鏡下では系統的肝切除が標準化されておらず,HCCにおいては安易に非系統的治療である部分切除を選択することにより再発を認め,生存率の低下が懸念されるためである.肝臓内視鏡手術時代の到来に向けて,HCCの系統切除の必要性について検討した.【方法】2001年~2010年,2-5cm,単発HCC,ICGR15:30%以下の253例を対象とした.系統的区域切除の定義は高崎の門脈分岐の沿った三区域分類で,一区域またはそれ以上の切除範囲とした区域切除群(93例)と区域切除に満たない切除群(亜区域と部分切除)(160例)に分けて,2群間の切除成績(5年無再発生存率,生存率)について検討した.【成績】2群間において年齢,T-Bil,Alb,PT,Plt,Child-Pugh,AFP,PIVKA,出血量,SM+,vp+,im+,術後合併症,術死亡,在院死亡,術後在院日数に差はなかった.区域切除群:区域切除に満たない切除群で,ICGR15 11%:13%,HCV 48%:62%,平均腫瘍径3.4cm:2.8cm,手術時間225.5:190.0,LC有無 24%:45% において有意差を認めた.区域切除群:区域切除に満たない切除群の5年無再発生存率は49%:22%,5年累積生存率は84%:69%で区域切除群が有意に良好であった(p=0.0011,p=0.0123).さらに区域切除に満たない切除群を,亜区域切除群:部分切除群に分けると,5年無再発生存率は26%:0%,5年累積生存率は69%:56%で亜区域切除群が有意に良好であった(p=0.0116,p=0.0065).【結論】系統的区域切除は,2~5cm単発HCCの肝内再発を抑え生存率を改善させる.また,亜区域切除でも部分切除より無再発生存率,累積生存率を向上させる.腹腔鏡下肝切除おいても,手技を向上させて系統的切除を目指すべきである. |
索引用語 |
肝細胞癌, 内視鏡手術 |