セッション情報 |
シンポジウム22(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
消化器癌内視鏡治療・鏡視下手術後の再発病態と対策
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タイトル |
外S22-11指:腹腔鏡下胃切除術後の長期成績と再発形式の検討
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演者 |
市川 大輔(京都府立医大・消化器外科) |
共同演者 |
岡本 和真(京都府立医大・消化器外科), 大辻 英吾(京都府立医大・消化器外科) |
抄録 |
【背景と目的】胃癌に対する腹腔鏡下胃切除は,低侵襲治療として多数の施設で行われているが,ガイドラインにおいては早期胃癌に対しても未だ研究段階の治療として位置付けられている.今回,腹腔鏡下胃切除術例の長期成績を解析し,その妥当性と問題点について検討する.【対象と方法】臨床診断cStageI(cT1N0-1,cT2N0)を腹腔鏡下胃切除術の適応としている.2002年から2012年までに行った腹腔鏡下胃切除術421例(関係施設での指導例含)の再発症例の検討ならびに予後解析を行い,開腹胃切除症例の予後との比較検討を行った.また,これまでの胃癌症例におけるリンパ管浸潤やリンパ節周囲脂肪組織内の癌細胞の臨床的意義についても検討し,腹腔鏡手術における注意点について考察した.【結果】1)最終診断の内訳は,fSageIA/IB/IIA/IIB/IIIA/IIIB/IIIC/IV:342/35/19/11/5/5/1/3例であり,術式はLADG/LATG/LAPG:322/73/26例であった.2)予後解析では(観察期間中央値779日),死亡例を13例認め,再発例は5例であった.再発初発形式は,リンパ節転移2例(共に大動脈周囲リンパ節再発),腹膜播種1例,血行性転移2例であった.3)5年全生存率(OS)は,IA:97%/IB:93%/IIA:75%/IIB:100%/IIIA:100%/IIIB:-/IIIC:-/IV:100%,5年疾患特異的生存率(DSS)は,Stage順に100%/93%/75%/100%/100%/-/-/100%であり,開腹症例と比較して劣らない結果であった.4)リンパ節転移陰性症例でもリンパ管浸潤や節外組織中に癌細胞を認める症例があり,予後因子であった.【結語】cStageIまでの胃癌に対する腹腔鏡手術において,特異な再発形式は認めず,長期成績は開腹手術と比較して遜色無い結果であった.標準治療としての位置付けには大規模臨床試験の結果を待たなければならないが,施行にあたっては,鉗子操作による癌細胞の散布を来たさぬように組織の把持には細心の注意を払い,郭清組織は崩さぬよう心がけるべきと考える. |
索引用語 |
胃癌, 腹腔鏡下胃切除 |