セッション情報 シンポジウム22(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌内視鏡治療・鏡視下手術後の再発病態と対策

タイトル 外S22-12:

胃癌に対する鏡視下手術の適応拡大と再発症例の検討

演者 大平 寛典(国際医療福祉大病院・外科)
共同演者 北島 政樹(国際医療福祉大病院・外科), 鈴木 裕(国際医療福祉大病院・外科)
抄録 【目的】当院では早期癌は原則全例,進行癌に対しても患者の了解を得て腹腔鏡手術を施行し5年が経過した.その中期的経過からの再発症例と対策について考察する.【方法】2008年4月から2012年12月までの間に鏡視下手術が施行され,術前に根治可能と判断し術後R0と考えられた168例を対象とし,緩和切除や化学療法により切除が可能になった減量切除例は除外.術式はガイドラインに従い早期癌はD1~D1+,進行癌はD2を選択し全摘では必要があればNo.10郭清時脾摘も追加.漿膜面に露出を疑う場合には鉗子による病変の直接把持を避け,摘出時は回収袋に収納し創に病変が付着しないよう配慮.術後は原則6カ月毎にCTを,術後補助化学療法例は毎月腫瘍マーカーをフォロー.【成績】早期癌97,進行癌71例.術式は幽門側胃切除111,全摘57例.D0:4,D1:6,D1+:102,D2:56例.fStageIA:92,IB:20,IIA:16,IIB:12,IIIA:11,IIIB:5,IIIC:11,IV:1例.S1を中心とした術後補助化学療法導入26例.ポート部再発はなし.再発例は9例で腹膜再発7例,肝転移2例ですべてT4a症例.再発時期は術後1~14ヵ月.ガイドラインの郭清範囲におけるリンパ節再発は認めず.T3以浅でR0の症例は現在全例転移再発なく経過.【考察】早期癌は現状の手技であれば鏡視下手術を選択したための再発はほぼないものと考える.進行癌においてはD2によるR0が見込める症例であればT3以浅までは鏡視下手術特有と思われる再発を避けての適応拡大の可能性がある.フォローアップと再発に対する治療方針についてはさらなる集積が必要である.
索引用語 胃癌, 鏡視下手術