セッション情報 |
パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで
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タイトル |
消PD1-9:高齢者C型肝炎に対する瀉血療法と抗ウイルス療法の発癌予防効果の比較:多施設共同
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演者 |
勝島 慎二(R24肝臓カンファレンスDELIMITER国立京都医療センター・消化器科) |
共同演者 |
鍋島 紀滋(R24肝臓カンファレンスDELIMITER天理よろづ相談所病院・消化器内科), 田中 斉祐(R24肝臓カンファレンスDELIMITER市立奈良病院・消化器肝臓病センター) |
抄録 |
【目的】70歳以上の高齢者C型肝炎における瀉血療法とinterferon(IFN)療法の発癌予防効果を多施設共同で比較検討した.【方法】対象は2004年から2011年までに研究会参加11病院において瀉血あるいはIFN療法を70歳以上で開始した肝癌治療歴のない,C型慢性肝炎全症例.ALT正常化(BR:治療開始以降に24週間以上ALT≦30IU/ml)率,AFP正常化(<5ng/ml)率,SVR率,副作用中止率と肝発癌率を比較した.【成績】観察期間が24週未満の4例は除外した.瀉血群は48例,IFN群は161例.平均年齢は瀉血群74歳,IFN群73歳.男性の割合は瀉血群35%,IFN群52%.瀉血療法はフェリチン値20ng/ml以下を目標に150cc以上の瀉血を2週間以上の間隔で実施した.IFN治療は従来型IFN少量長期投与4例,PegIFNα-2a 90μg/週以下長期投与49例,PegIFNα-2a 180μg/週22例,PegIFNα・リバビリン併用86例.BR率は瀉血群40%,IFN群75%,AFP正常化率は瀉血群24%,IFN群57%であった.SVR率はIFN群で45%,副作用中止率は瀉血群10%,IFN群20%であった.発癌観察期間中央値は瀉血群3.4年,IFN群3.0年,新規肝発癌は瀉血群9例,IFN群20例であった.3年累積発癌率は瀉血群19%,IFN群8%であったが,両群間に有意差はなかった(logrank test).Cox回帰分析(単変量)では治療前血清アルブミン値,血小板数,プロトロンビン時間,BR,SVRと治療後AFP値(<5ng/ml)が発癌に有意に関与していたが,多変量解析を行うと血小板数,プロトロンビン時間とSVRが独立した因子として抽出された.瀉血群およびSVR例を除いたIFN群で各々層別解析をすると,瀉血群ではBRは有意な発癌抑制を示さなかったが,SVR例を除いたIFN群ではBR例で有意な発癌抑制を認めた.【結論】瀉血療法はIFN療法に比べて忍容性に勝るが,BRを得ても発癌抑制は明らかでなく,有用性は確認できなかった.IFN療法は,リバビリン併用療法も含め,高齢者でも忍容可能で,SVRやBRを得ると発癌が抑制され,有用であった. |
索引用語 |
肝細胞癌, C型肝炎 |