セッション情報 パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで

タイトル 消PD1-10:

C型慢性肝疾患に対するPeg-IFN/RBV併用療法と肝発癌に関する検討-多施設(OLF)共同研究-

演者 藥師神 崇行(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 平松 直樹(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】C型慢性肝疾患に対する抗ウイルス療法の発癌抑制効果が明らかになっているが,著効例あるいは非著効例における肝発癌に関する検討はいまだ十分ではない.今回,C型慢性肝疾患に対するPeg-IFN/RBV併用療法の治療効果別の発癌抑制効果と発癌様式について検討を行った.【方法】OLF参加施設においてPeg-IFNα2b/RBV併用療法を施行されたC型慢性肝疾患4641例のうち,2008年12月31日までに治療を開始した肝癌の既往のない2600症例を対象として累積発癌率,発癌に関与する因子を検討した.また,肝発癌症例104症例を対象として発癌様式を検討した.【成績】平均観察期間40.0カ月で,肝発癌は著効群1425症例中23例,再燃群607症例中25例,無効群558症例中55例にみられた.5年累積発癌率はおのおの1.2%,2.6%,4.4%であった.多変量解析より,発癌に関与する治療前因子は,高齢(<55歳 vs 55-65歳(p=0.006), vs ≧65歳(p<0.001)),男性(p<0.001),血小板15万未満(p=0.009),AFP 5ng/ml以上(p=0.027),抗ウイルス学的効果(無効群 vs 著効群 (p<0.001), vs 再燃群(p=0.036))であった.治療効果別の検討では,著効群では治療終了後24週時のAFP値が発癌に関与する唯一の因子であり(p=0.03),非著効群では年齢,性別,治療終了後24週時のALTおよびAFP値であった.治療前AFPが高値であっても,治療後低下した症例は,持続高値症例に比して,著効群,非著効群ともに発癌は有意に低率であった.肝発癌症例については,単発は著効群で87%(20例/23例),非著効群で73%(58例/79例)であった.肝切除症例は著効群22%(5例/23例),非著効群10%(8例/81例)であった.局所療法の適応である3cm以下,3個以下の症例は,著効群74%(17例/22例),非著効群89%(72例/76例)と著効群で低率であった(p=0.03).【結論】Peg-IFN/RBVによって著効例や再燃例で発癌が抑制された.著効群において,治療後AFP高値は発癌に関与する因子であり,肝癌サーベイランスを考える上で有用であると考えられた.
索引用語 Peg-IFN/RBV併用療法, 肝発癌