セッション情報 パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで

タイトル 肝PD1-11:

C型肝炎IFN治療SVR後の肝発癌および予後に関する検討

演者 長沖 祐子(広島大病院・消化器・代謝内科)
共同演者 相方 浩(広島大病院・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大病院・消化器・代謝内科)
抄録 【目的と対象】1)当院及び関連施設にて,C型肝炎IFN療法によりSVRが得られた1979例(1991~2010年)を対象とし,SVR後肝発癌率および発癌に寄与する因子を解析した.2)当院にて加療を行ったSVR後肝発癌64例(1991~2013年2月)の臨床的背景と予後を解析した.【結果】1)SVR1979例において,SVR後肝発癌例は65例.観察期間中央値47ヶ月.10年発癌率6%,20年発癌率13%.SVR後肝発癌に寄与する因子として,単変量解析では,SVR時年齢60歳以上,男性,F3/4,AST>50,γ-GTP>50,血小板15万未満,T-chol<170,AFP>10が有意な因子で,多変量解析では血小板15万未満 (HR8,6, P=0.045)が独立因子であった.IFN時血小板15万以上の1120例では独立因子としてSVR時年齢60歳以上(HR=4.480,P=0.035)が抽出された.各因子別の10年肝発癌率は,男性9%,女性2%,60歳以上15%,60歳未満5%,血小板15万未満10%,15万以上3%,F0/1;5%,F2;2%,F3;8%,F4;34%. 2)当院で加療を行ったSVR後肝発癌64例のSVR時年齢中央値は61歳,SVR後肝発癌までの中央期間は5年(1~20年).5年未満発癌は29例,5~10年未満16例,10年以上19例.SVR後10年未満肝発癌の危険因子として多変量解析ではSVR時年齢55歳以上(HR 0.139,P=0.003)が独立因子であった. 64例の5年生存率は74%,生存に寄与する因子は根治的治療(肝切除術,RFA)(HR 12.124,P=0,001)が抽出された.根治治療選択患者における5年生存率は96%.根治治療選択に寄与する因子は,定期的肝癌サーベイランス(最低年1回は画像検査と腫瘍マーカー測定)(HR 7.457,<0.001)が抽出された.根治治療を施行した38例中7例が異所再発し(7年再発率12%),女性の1例はSVR時年齢54歳,F3,SVR後7年で初回発癌,肝切除後8年(SVR後15年後)で異所再発を認めた.【結語】SVR後肝発癌率は,10年6%,20年13%.高齢,線維化進展例は,SVR後肝発癌の危険因子である.SVR後肝発癌根治治療例の予後は良好であるが,治療後の異所再発は少なくない.SVR後10年以降の発癌も稀ではなく,長期的なサーベイランスが必要である.
索引用語 SVR, HCC