セッション情報 パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで

タイトル 肝PD1-12:

C型慢性肝炎インターフェロン著効例における肝発癌のリスクと著効後のfollow-up

演者 豊田 秀徳(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 多田 俊史(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】C型肝炎のインターフェロン著効(SVR)後においても肝発癌が観察され,SVR後のfollow-upの必要性が指摘されている.SVR後の発癌リスクについて解析し,follow-upの必要性とその頻度について検討した.【方法】C型慢性肝炎のインターフェロンSVR例522例について検討した.SVR後も半年に1回の外来follow-upを継続し,その後の肝細胞癌の発生率とその危険因子を解析した.【成績】SVR後の発癌は16例にみられ発癌率は5年1.2%・10年4.3%で,当院通院中のトランスアミナーゼ持続正常HCV陽性516例の発癌率より有意に低かった(p<0.0001).単変量解析で発癌に関連するもしくはその傾向が認められた因子は60歳以上(p=0.0238・RR1.77)・男性(p=0.0565・RR1.74)・飲酒(p=0.0261・RR1.89)・糖尿病(p=0.0696・RR1.79)・肝線維化F2以上(p=0.0025・RR2.17)・治療後のFIB-4 index2以上(p=0.0002・RR2.80)・治療後のAPRI0.5以上(p=0.0006・RR2.42)であり,性別・血小板・AFP・HCV genotype・治療時のリバビリンの使用・PEG-IFNの使用・SVRになるまでの治療回数は発癌と関連が認められなかった.多変量解析では飲酒(p=0.0626・RR1.13)と治療後のFIB-4 index2以上(p=0.0368・RR2.52)のみが独立してSVR後の肝発癌に関連する因子であった.発癌例は全例40歳以上であり,5例は治療前肝生検でF1以下であったが,FIB-4 indexは3.79±2.53と高かった.【結論】治療後のFIB-4 indexはSVR後の発癌リスクを最もよく分別していた.飲酒家で治療後FIB-4 index2以上の症例の発癌リスクは高く,SVR後も十分なfollow-upが必要と考えられた.一方,SVR後23年までのfollow-upで40歳以下・治療後FIB-4 index1.5以下の症例に発癌例はなく,これらの症例においてはfollow-offも考慮していいかもしれない.
索引用語 インターフェロン著効例, 肝細胞癌