セッション情報 パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで

タイトル 消PD1-13:

C型肝癌局所療法後のIFN療法の実態と再発および予後についての検討

演者 南 達也(東京大・消化器内科)
共同演者 建石 良介(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】C型肝炎関連肝癌に対する局所療法後のIFN療法の施行状況を調べ,肝癌の再発抑止効果と予後改善効果について検討した.【方法】1992年1月から2009年12月までに当科で初発C型肝癌に対して根治的に経皮的局所療法を施行した1193例を対象とした.発癌後IFN施行群の背景,regimen,効果,副作用を検討した.また,発癌後IFN非施行群の中から年齢,性別,肝機能,腫瘍条件をマッチさせ,さらに初発肝癌治療後2.5年以上生存した者をcontrol群とし,発癌後IFN施行群とcontrol群の再発率および生存率をKaplan-Meier法を用いて,再発,生存に寄与する因子をCox比例ハザードモデルで検討した.【成績】発癌後IFN療法を施行したのは152例(男性/女性=110/42)で,発癌後IFN非施行群に比して,若く(平均年齢62.6±7.1歳vs 69.1±7.7歳, p<0.001),腫瘍径は小さく(21.9±8.0mm vs 25.1±11.0mm, p<0.001),肝機能良好で(Child-Pugh A 80% vs 68%, p=0.056),genotype1型が少なかった(68% vs 81%, p<0.001).発癌後IFN療法によるSVRは56例,BRは26例,NRは70例であった.初発肝癌治療後1年,2年,4年再発率はIFN施行群で10%,25%,39%と,control群の10%,35%,58%に比して有意に低かった(p=0.02).多変量解析では,ALT値,AFP値,Child-Pugh分類,腫瘍径,腫瘍数で補正した再発リスクは,control群に対しNR群0.84倍(p=0.47),BR群0.54 倍(p=0.13),SVR群0.38倍(p<0.001)であった.3年,6年,9年生存率はIFN療法群で97%,84%,60%,control群で98%,68%,32%とIFN療法群で有意に予後良好であった(p<0.001).多変量解析では,上記因子で補正した死亡リスクはcontrol群に対しNR群0.55倍(p=0.01),BR群0.61倍(p=0.23),SVR群 0.27倍(p<0.001)であった.【結論】C型肝癌局所療法後IFN療法によりSVR症例では再発抑制,予後延長効果が得られた.しかし,肝予備能の低下,IFN療法の副作用のリスクのため,発癌後IFN療法の導入は限定的であった.よりウイルス学的効果が高く,副作用の少ない薬剤の導入が望まれる.
索引用語 C型肝癌, インターフェロン