セッション情報 |
パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで
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タイトル |
肝PD1-14:インターフェロン治療SVRによるC型肝炎関連肝細胞癌切除例の再発抑制
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演者 |
上西 崇弘(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学DELIMITER石切生喜病院・外科) |
共同演者 |
竹村 茂一(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 久保 正二(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学) |
抄録 |
【目的】インターフェロン(IFN)治療によりSVRとなったC型肝炎(HCV)症例では活動性肝炎が沈静化することで肝発癌リスクが低下する. また,SVR後に発生した肝癌に対する肝切除例や肝癌根治切除術後のIFNによりSVRが獲得された症例では術後再発が有意に抑制されることが示唆されている.【方法】2000年以降の10年間にまでに根治切除術が施行された5cm以下単発かつ術前血小板数5万以上であったHCV関連肝癌146例を対象とした.IFN治療SVR後に発見された肝癌21例と根治術後にIFN治療でSVRとなった 13例をSVR群として,nonSVR 29例とIFN未治療 83例をあわせた112例のコントロール群と臨床像および切除成績を比較検討した.【成績】SVR群の平均年齢は66.0歳であり,コントロール群の70.4歳より有意に若年であったが性差は認められなかった.SVR後に発見された肝癌症例では肝機能値は極めて良好であったためSVR群では ASTおよびALT値が有意に低値であり,血小板数およびアルブミン値は有意に高値であった.一方,平均主腫瘍径および病理学的門脈腫瘍栓の頻度には両群間で有意差はみられなかった.3および5年無再発生存率はSVR群でそれぞれ57%,47%であり,コントロール群の35%,16%と比較して有意に良好であった.多変量解析でもIFN治療SVR(Risk ratio 0.55)および組織学的肝硬変無し(Risk ratio 0.62)が独立した無再発予測因子であった.また,背景肝に組織学的肝硬変を認めなかった89例においては SVR群(29例)の3および5年無再発生存率はでそれぞれ64%,51%であり,コントロール群の46%,22%と比較して有意に良好であったが,肝硬変例においてはSVR群とコントロール群の無再発生存率に差は認められなかった.【結論】IFN治療SVRはHCV症例からの肝発癌を低下させるだけでなく,肝癌根治切除後の再発も抑制して長期予後を改善することが示唆された.しかしながら,肝硬変症例における再発抑制効果についてはさらなる検討が必要と思われた. |
索引用語 |
インターフェロン, 肝癌 |