セッション情報 パネルディスカッション1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

C型肝炎を背景とした肝細胞癌-予防から再発治療まで

タイトル 肝PD1-15:

HCV関連肝癌治療後のPEGIFN/リバビリン/テラプレビル併用療法の現状

演者 吉本 剛志(国立九州医療センター・消化器内科)
共同演者 福泉 公仁隆(国立九州医療センター・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】肝癌再発予防を目的に肝癌治療後のHCV排除を目的に当院でPEGIFN/リバビリン併用療法を行い抗ウイルス効果,肝癌再発抑止効果について報 告してきた.同療法ではIb型高ウイルス群,線維化進展例でのSVR率(ITT解析)は30%であった.今回,肝癌治療後の症例に対してテラプレビルを含 めた3剤併用療法を行い,その有用性について検討する.【対象と方法】当院において肝癌治療後に3ヶ月間以上再発なく経過したC型慢性肝炎患者で2012 年2月1日から2013年2月28日までに(1)~(4)を満たしたIb型高ウイルス群14例(男性10名,女性4名)を対象として3剤(PEGIFN/ リバビリン/テラプレビル)併用療法を導入した.(1)ALT異常値があり血小板数7万以上,肝不全徴候がない(2)高血圧,糖尿病,など他の合併症がな い(3)肝癌の肝内病変は局所治療により十分にコントロールされている(4)他臓器転移がない.IL28B遺伝子多型も測定,その治療効果も検討した. 【結果】3剤併用療法導入時の年令60.4±8.1才,初回肝癌の治療内容は開腹下MCN11例,肝切除3例であった.脾摘術4例,肝組織型 F3:F4=3:11,IL28BはTT/TG,GG 6/7 未検1.IFN治療歴(なし5例,IFN治療3例,PEGIFNリバビリン治療6例),前治療反応は再燃3例,無反応 6例.同治療の中断は2例(14.3%).中断理由は,腎障害1例,重症皮疹1例であった.治療終了した9例中,ITT解析でSVR4は5例 (55.6%)であった.IL28B別にSVR4を評価するとTT75%,TG40%であった.観察期間中に2例(14.3%)に肝癌再発を認めた.【考 案,結論】HCV関連肝癌治療後のIb型高ウイルス群に3剤併用療法を導入した.副作用による治療中断例を認めるもPEGIFN/リバビリン併用療法に比 してSVR率の改善が期待できることが示唆された.
索引用語 HCV関連肝癌, 3剤併用療法