セッション情報 パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)

B型肝炎治療の最前線

タイトル 肝PD2-2:

B型慢性肝炎に対するpeg-interferon単独およびsequential療法の治療効果

演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科DELIMITER全国赤十字病院肝疾患ネットワーク)
共同演者 折戸 悦朗(全国赤十字病院肝疾患ネットワークDELIMITER名古屋第二赤十字病院・消化器内科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科DELIMITER全国赤十字病院肝疾患ネットワーク)
抄録 【目的】全国多施設共同研究によりB型慢性肝炎に対するpeg-interferon単独およびsequential療法の効果を検討した.【対象】Peg-interferon単独療法を施行した62例は,平均年齢36歳,HBe抗原陽性63%であった.Sequential療法を施行した28例は,平均年齢40歳,HBe抗原陽性50%であった.Sequential療法は,核酸アナログ長期投与例(ラミブジン・アデホビル併用25%,エンテカビル75%)に4週間のoverlap を設けてpeg-interferonを48週間投与した.Sequential開始時に93%がHBV DNA陰性であった.同時期に核酸アナログを継続投与した230例を対照としsequential療法の効果と比較した.【成績】Peg-interferon単独療法によりHBs抗原量は平均43%減少した.HBs抗原減少>10% / >50% / >1.0Logの頻度は82% / 36% / 12%であった.年齢,HBe抗原によりHBs抗原減少に差はなかった(HBs抗原減少10%以上の頻度:40歳未満83% vs 40歳以上78%,HBe抗原陽性83% vs 陰性 80%).Sequential療法ではHBs抗原が高度に減少し,HBs抗原減少>10% / >50% / >1.0Log / >2.0Logの頻度は92% / 58% / 42% / 25%であり,2例でHBs抗原が陰性化した.年齢によりHBs抗原減少効果に差はなく,sequential開始時のHBs抗原量が低値であるほどHBs抗原が高度に減少した(HBs抗原2.0Log減少:HBs抗原 <1000 / 1000~10000 / >10000 = 40% / 20% / 0%,HBs抗原1.0Log減少:HBs抗原 <1000 / 1000~10000 />10000 = 60% / 40% / 0%).核酸アナログ継続投与230例における1年間のHBs抗原減少が平均0.01Logであったのに対し,sequential療法では平均-1.02Log(-0.06~3.34 Log)とより高度にHBsが減少した.IL28B MajorにおいてMinorと比較し12週時点でのHBs抗原が高度に減少する傾向を認めた(0.53 vs 0.05 Log). 【結論】Peg-interferon単独療法により高頻度にHBs抗原が減少する.核酸アナログ長期投与例に対するsequential療法では,核酸アナログ継続投与と比較し短期間で高度にHBsが減少する.
索引用語 HBV, Peg-interferon