セッション情報 パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)

B型肝炎治療の最前線

タイトル 肝PD2-6:

Drug freeを目指した核酸アナログ製剤中止後のPEG-IFNα2a療法の検討

演者 齋藤 正紀(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
共同演者 榎本 平之(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【目的】B型慢性肝炎の治療は核酸アナログ製剤によるHBV DNAの持続的低値と肝機能の安定化であったが,HBs抗原定量とHBコア関連抗原測定法の進歩により核酸アナログ製剤の中止やHBs抗原の陰性化を目指す治療指針へ変化し核酸アナログ製剤の中止基準が示された.しかし中止基準を満たす症例は限定されており,HBs抗原の陰性化につながる治療は未だ確立されていない.今回Drug freeを目指した核酸アナログ製剤中止後のPEG-IFNα2a療法の前向き研究を行い,その有用性を検討した.【方法】同意が得られた当施設の核酸アナログ長期投与患者26例に対して,核酸アナログ製剤を中止し併用期間を設けることなくPEG-IFNα2a 180μg週1回投与に切り替えた.主要評価項目は治療終了後の臨床的安定化(Drug free)であり,副次評価項目は中止基準による評価とHBs抗原定量の推移とした.【成績】登録26症例のPEG-IFNα2a 投与前,年齢45歳(最小-最大;30-68),核酸アナログ投与期間4.18年(1.78-11.26),HBe抗原(+/-)7/20,HBV DNA 2.1 logcopy/ml(0-4.8),HBs抗原量1365.3 IU/ml(40.6-25400.9),HBコア関連抗原4.7 logIU/ml(3.0-6.8)で,中止基準の再燃リスク評価は中リスク群5例,高リスク群21例であった.PEG-IFNα2a投与開始後,多くの症例でHBV DNAは一過性に上昇し,それに追随してALTの上昇を認めたが12週までに収束した.24週目のBR,VRは共に3/12症例(25%)で,中リスク群は高リスク群に比べともに高率であった.PEG-IFNα2a投与後,HBs抗原定量は24週目で6/12症例(50%)に1log以上の低下を認め,その中の1症例は陰性化した.年齢別では,45歳未満は3/4症例(75%)に1log以上の低下を認め,45歳以上は3/8症例(38%)であった.【考案】核酸アナログ製剤長期投与例に対する中止後のPEG-IFNα2a療法は,多くの症例でHBs抗原の低下を認め,再燃リスクが高い症例においても若年であれば良好な経過を示す症例が存在した.中止対象の拡大,drug freeを目指す治療として有用である可能性が示唆された.
索引用語 核酸アナログ製剤の中止基準, PEG-IFNα2a