セッション情報 パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)

B型肝炎治療の最前線

タイトル 肝PD2-7:

IL28B SNP・IP10値に基づいたペグインターフェロン療法の早期治療効果予測の試み

演者 松居 剛志(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 新海 登(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 田中 靖人(名古屋市立大大学院・病態医科学)
抄録 【目的】IL28BやIP10はC型慢性肝炎に対するIFN療法の効果予測因子として知られているが,B型慢性肝炎(CHB)における意義は明らかとなっていない.今回,CHB未治療例に対するPegIFNの治療早期のHBV量とIL28B,治療前IP10値の関連を検討した.【方法】対象は2007年から2013年までにCHB未治療例に対しPegIFNα2a投与を施行した26例.これらをIL28B TT群とTG群に分け,治療早期(12週)での評価を行った.【成績】対象の背景は男女比14:12で,年齢(中央値)33歳,HBeAg +/- 21/5,genotype A/B/C 2/1/23,BCP W/M 10/15,PC W/M 15/10であり,治療開始時の検査中央値はALT60.0IU/l,DNA8.5log copy/ml,HBs抗原11050.8IU/mL,HBコア関連抗原5.5LogU/ml,IP10144.0pg/mLであった.TT群は21例で,年齢34歳,M/F 12/9,HBe抗原+/- 16/5,genotype A/B/C 2/1/18,PC W/M 11/9,BCP W/M 9/11,ALT53 IU/l,DNA8.6log copy/ml,HBs抗原量11632.0IU/mL,HBコア関連抗原5.5LogU/ml,IP10 135.0pg/mLであった.TG群は5例で,年齢38歳,M/F 2/3,HBe抗原+/- 4/1,genotype C 5,PC W/M 3/1,BCP W/M 2/2,ALT94 IU/l,DNA8.2log copy/ml,HBs抗原量10469.5 IU/mL,HBコア関連抗原7.6LogU/ml,IP10 372.0pg/mLで,TT群はTG群に比しIP10の値が低い傾向を認めた.TT群では治療早期でDNA量が3.5log copy/ml以上の急激な減衰を示した症例を18例中5例に認め,更にこのうちHBs抗原量が1log IU/mL以上低下した例を2例認めた.また,急激なDNAの低下をきたした症例のIP10 の平均値は240 pg/mLであった.TG群では急激なHBV DNA,HBs抗原量が低下した症例を認めなかった.なお,現在,治療効果との関連性も検討中である.【結論】CHB未治療例に対するPegIFN療法においてIL28BとIP10は治療早期のviral kineticsと関連する可能性が示唆された.
索引用語 IL28B, IP10