セッション情報 パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)

B型肝炎治療の最前線

タイトル 肝PD2-8:

免疫反応解析によるETV-IFN Sequential 療法効果の予測

演者 近藤 泰輝(東北大病院・消化器内科)
共同演者 岩田 朋晃(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【背景】慢性B型肝炎病態において細胞性免疫反応は重要な役割を果たしている.我々は慢性B型肝炎においてHBV特異的CTLs, Tregs等,様々な免疫反応を解析してきた.【目的】HBV特異的CTLs, HBcAg特異的IL10産生CD4陽性細胞解析によりETV-IFN治療効果予測が可能かを検討する.【方法】ETV-IFN Sequential療法施行患者8名について書面同意の上,経時的にPBMCs, 血漿サンプリングを施行し各種ウイルス学的,免疫学的解析を施行した(UMIN000007401).宿主遺伝学的背景因子としてIL28B polymorphism (rs8099917), HLA-DPA1(rs3077), HLA-DPB1(rs9277535)を解析した.治療前保存血清がある患者では治療導入前のPC, BCP変異を解析した.HLA-A24-MHC-Tetramer C117, P756にてHBV特異的CTL頻度解析を施行した.HBcAg, HBsAg, HBeAg刺激後のIFN-gamma, IL10産生CD4陽性細胞頻度をcytokine secretion assayとMulti-color FACS analysisにて経時的に解析した.また,骨髄由来免疫抑制細胞(MDSCs)頻度とPD-L1発現について解析を加えた.【結果】ETV治療介入を行うとHBsAg, HBeAg, HBcAg特異的CD4陽性IL10産生細胞頻度は全て低下傾向を示した.その中でもHBcAg特異的CD4陽性IL10産生細胞頻度は統計学的有意に減少した(p<0.01).一方HBV特異的CD4陽性IFN-γ細胞, HBV特異的CTL頻度は増加傾向を示した.IFNを投与するとHBcAg特異的CD4陽性IL10産生細胞は治療反応良好群にてより顕著に減少し,IFN-γ産生細胞は増加した.治療良好群4例と不良群4例では治療良好群4例にて有意にIFN開始時の HBcAg特異的CD4陽性IL10産生細胞頻度は低かった(p<0.05).また,PD-L1陽性MDSCs頻度は治療良好群で低いことが分かった.治療良好群ではHBsAg低値が確認された.今回の症例数ではBCP変異とIL28B, HLA-DPA1, DPB1 polymorphismとの関係は明らかとはならなかった.【結語】HBcAg特異的IL10産生細胞,PD-L1陽性MDSCs頻度測定はETV-IFN Sequential療法効果予測の有力な指標と成りうる可能性が示された.現在,多施設共同研究をセットアップ中である.
索引用語 HBV, MDSCs