セッション情報 パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)

B型肝炎治療の最前線

タイトル 肝PD2-9:

LamivudineとAdefovir併用療法不応例,多剤耐性例に対するAdefovirとEntecavir併用療法の長期成績

演者 中島 知明(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
共同演者 髭 修平(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)), 狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
抄録 【目的】Lamivudine(LAM)とAdefovir(ADV)併用療法(LAM+ADV)不応例,あるいは多剤耐性例に対してADVとEntecavir(ETV)併用療法(ADV+ETV)を行った症例について,長期の抗ウイルス効果および経時的な耐性変異に関する検討を行った.
【対象と方法】4年以上ADV+ETVを行った18例を対象とした.8例(44%)は多剤耐性株の検出を認めないLAM+ADV不応例,10例(56%)はLAMとADVあるいはLAMとETVの多剤耐性株が確認された症例で,前治療として全例でLAM+ADVが行われていた.対象の内訳は男性12例(67%),年齢中央値62(39-81)歳,e抗原陽性14例(78%),肝硬変9例(50%),LAM投与期間中央値28(10-110)月,ADV併用期間中央値28 (13-50)月で,ADV+ETVは48~50月投与した.投与1,2,3,4年時におけるHBV DNA陰性化率,HBV DNA 3log copies/mL未満の症例の割合を解析,さらにINNO-LiPa法,PCR invader法による耐性株の検出を行った.HBV DNAはTaqMan PCR法を用い,陰性化を2.1未満または検出感度以下と定義した.
【成績】HBV DNA陰性化率は投与1年,2年,3年,4年でそれぞれ39%,50%,56%,67%,LAM+ADV不応8例/多剤耐性10例では同様に,25%/50%,38%/60%,50%/60%,63%/70%であった.HBV DNA 3log未満の割合は投与1年,2年,3年,4年でそれぞれ56%,67%,72%,83%,LAM+ADV不応8例/多剤耐性10例では同様に,50%/60%,50%/80%,63%/80%,75%/90%であった.投与4年時点でのHBV DNAは全例4log未満であり,投与4年の間にINNO LiPa法,PCR invader法により新たな耐性の獲得を認めなかった.
【結論】LAM+ADV不応例,あるいは多剤耐性例に対するADV+ETV療法では,新たな耐性を獲得することなく良好な抗ウイルス効果が得られた.
索引用語 B型肝炎, 耐性変異