セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)
B型肝炎治療の最前線
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タイトル |
肝PD2-11:薬剤耐性HBVに対するテノホビルの抗ウイルス効果とgenotypeによる相違
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演者 |
柘植 雅貴(広島大大学院・消化器・代謝内科学) |
共同演者 |
村上 英介(広島大大学院・消化器・代謝内科学), 茶山 一彰(広島大大学院・消化器・代謝内科学) |
抄録 |
【背景および目的】B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ(NAs)療法は,強力な抗ウイルス効果による肝炎の鎮静化が期待できる反面,薬剤長期投与による薬剤耐性変異株の出現が問題視されている.さらに,耐性変異株の出現率にはgenotype間で異なることが報告されている.これまで,当研究室では,HBV産生培養細胞株(in vitroモデル)を用いた薬効評価系について報告してきた.本研究では,各種薬剤耐性HBVを作成し,これらのテノホビル(TDF)に対する感受性を評価するとともに,HBV genotypeによる抗ウイルス効果の違いについて検討した.【方法】患者血清よりクローニングした1.4倍長のHBVゲノム(Genotype(Gt) AおよびC)を組み込んだHBV発現プラスミドを作製.同プラスミドに対し種々の薬剤耐性変異を導入し,耐性株発現プラスミドを作製.これらのプラスミドを用いて,各種HBVに対するTDFの抗ウイルス効果をin vitroモデルを使用し,検討した.【結果】野生株におけるTDFの感受性をgenotype間で比較したところ,Gt A,CのIC50はそれぞれ0.79μM,0.55μMと良好であったが,Gt Aにおいて感受性が低い傾向にあった.LMV耐性株(rtL180M/M204V株),LMV/ADV耐性株(rtA181T/N236T株),LMV/ETV耐性株(rtL180M/S202G/M204V株)においても検討を行ったところ,LMV耐性株では,野生株とほぼ同等のTDF感受性が認められた.一方,LMV/ADV耐性株およびLMV/ETV耐性株では,TDF感受性の低下を認め,特にLMV/ADV耐性株では,IC50が野生株の2.5~4.0倍に上昇していた.また,いずれの耐性株においてもGt Cに比べ,Gt AにおいてIC50は高値であり,Gt AはGt Cに比べ,TDFに対し治療抵抗性である可能性が示された.【考察】現在,TDFの保険適応に向けて準備が進められているが,多剤耐性株に対してTDF投与を行う際には治療抵抗性を示す可能性があり,注意が必要と考えられる. |
索引用語 |
HBV, テノホビル |