セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)
B型肝炎治療の最前線
|
タイトル |
肝PD2-12:当院および関連病院における慢性B型肝炎に対する核酸アナログ療法の有効性に関する検討
|
演者 |
安中 哲也(岡山大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
池田 房雄(岡山大・消化器・肝臓内科), 山本 和秀(岡山大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝炎に対する核酸アナログ療法の肝発癌に及ぼす影響は,いまだ充分に確立していない.当院および関連病院におけるB型慢性肝炎症例に対する核酸アナログ療法の有効性について検討した.【方法】 2011年1月~2012年3月に当院および関連病院を受診した慢性B型肝炎症例におけるB型肝炎ウイルスマーカー,肝機能検査,初発肝発癌を解析し,核酸アナログ療法の有効性を検証した.【成績】症例数は975例,内訳は男性541例,女性434例,年齢中間値は47歳(11~80歳),観察期間中間値1910日であった.HBV DNA中間値は5.1 log copies/mL,核酸アナログを投与された症例は413例,肝発癌例は73例であった.肝発癌に関わる因子について比例ハザードモデルで多変量解析を行ったところ,年齢50歳以上,核酸アナログ治療有が抽出された(それぞれp<0.0001,p<0.0001,リスク比3.109,8.077).核酸アナログ治療を受けた413例での肝発癌に関わる因子について比例ハザードモデルで多変量解析を行ったところ,年齢50歳以上,アルブミン4g/dL未満が抽出された(それぞれp=0.014, p=0.0004,リスク比2.983,3.295).核酸アナログ投与群ではアルブミン,プロトロンビン時間が中間値それぞれ+0.3 g/dL,+11.5%と有意に改善 (それぞれp<0.0001,p<0.0001) していたが,いずれも肝発癌との有意な相関は見られなかった(それぞれp>0.1,p>0.1).【考案】全症例の中では高齢,核酸アナログを投与された症例で多く肝発癌がみられた.また核酸アナログ投与群の中では高齢でアルブミン低値の症例で多く肝発癌がみられた.肝予備能は核酸アナログ治療によって改善したが,肝予備能が改善した群においても肝発癌を抑制できなかった.【結語】本研究の対象症例では,核酸アナログによる肝発癌抑制効果はみられなかった.特に治療前に高齢でアルブミン低値の症例では肝発癌が多かった.核酸アナログ投与によって肝予備能が改善した症例においても,注意深い肝細胞癌スクリーニングが必要である. |
索引用語 |
HBV, 肝発癌 |