セッション情報 パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)

B型肝炎治療の最前線

タイトル 肝PD2-14追:

B型慢性肝炎の血清マーカーを基とするFibrosis scoreによる線維化予測の検証

演者 池田 裕喜(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 通博(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【背景と目的】B型慢性肝炎(CHB)に対する長期の核酸アナログ製剤(NA)投与により肝線維化が改善することが報告されている.しかし,侵襲を伴う肝生検を複数回行うことは容易ではない.最近,4つの血清マーカーを基とするFibrosis score(FS)によるCHBの線維化予測が報告された(Ikeda K et al, Hepatol Res 2012).我々はFSの有用性を検証するため,長期NA投与例でのFSの変化について検討した.
【方法】当院にて2年以上NA投与が行われ投与前に肝生検が施行されていた33例を対象とした.対象の内訳は男性25例,女性8例,NA投与開始時の年齢中央値(レンジ)は42(27-63)歳で,HBe抗原陽性11例,陰性22例,GenotypeB 3例,C 30例,HBV-DNAは6.3(4.1-8.7)Log copy/ml,ALTは78(26-932)IU/mlであった.治療期間は256(104-450)週であった.保存血清を用いて治療開始前のFSおよび開始後のFSを算出し,治療前肝生検によるStageとFSとの関係について,また治療前後でのFSの変化について検討した.
【結果】肝生検による各StageのFSの中央値(レンジ)は,F0,1(n=5):0.88(0.80-2.39),F2(n=15):1.98(-0.28-4.30),F3(n=9):2.55(1.47-4.87),F4(n=4):3.17(3.02-5.09)で,有意な正の相関を認めた(r=0.563,p=0.0006).また,治療前,治療後のFSは,それぞれ2.29(-0.28-5.09),1.95(-1.05-4.29)で,治療により有意な低下を認めていた(p=0.006).長期投与群(5年以上)は,短期投与群(5年未満)より有意にFSが低下していた(p<0.001).また,高度線維化例(F3,4)で軽度線維化例(F0,1,2)より有意にFSが低下していた(p=0.035).治療前後で肝生検が行われた6例のうち4例はStageの改善を認めていた.残り2例は不変であったが,FSは低下していた.
【考案と結語】FSは,治療前の肝生検によるStageと良い相関を示し,CHBにおける線維化診断として妥当であり,NA投与による線維化改善の指標として有用であると考えられた.
索引用語 B型慢性肝炎, Fibrosis score