セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化器病学会・肝臓学会合同)
B型肝炎治療の最前線
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タイトル |
肝PD2-15:HBV/HIV共感染におけるHBs抗原を制御するサイトカインの推移
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演者 |
渡邊 綱正(名古屋市立大大学院・ウイルス学) |
共同演者 |
杉浦 亙(国立名古屋医療センター), 田中 靖人(名古屋市立大大学院・ウイルス学) |
抄録 |
[目的]HIV拠点病院で経験したHIV合併HBV感染症の病態は,肝炎無症候性群,自然発症の肝炎群,抗HIV治療開始後の免疫再構築による肝炎群,の3つに分類された.これら病態はHBs抗原陰性化と関連し,これまでの検討では細胞性免疫の中心であるTリンパ球数のみでは説明できなかった.そこで今回,免疫機能の指標である血清サイトカインをモニタリングし,HBs抗原コントロールに及ぼす影響を解析した.[方法] HIV合併HBV感染の43例を対象とし,経時的に保存されている血清を用いて,HBVコントロールに関連するとされるIFN-γやTNF-α,さらにIL-1βなどを中心に,血清サイトカインをBio-Plexにて網羅的に測定する.また,抗HIV療法(抗HBV作用を有する核酸アナログ剤;テノフォビル含む)を開始後も長期に渡りHBs抗原陽性のためPEG-IFNのadd-on療法を開始しHBs抗原陰性化した症例なども同様に検討した.[結果] HIV/HBV共感染例の内訳は,平均年齢38歳,全例が男性(100%)で,37例(88%)がHBV genotype A (HBV/A)であった.HBV/A初感染後の病態は,自然経過の肝炎発症が12例(32%),抗HIV療法開始後の免疫再構築による肝炎発症が20例(54%),肝炎非発症が5例(14%)であった.B型肝炎免疫再構築により11例(55%)がHBs抗原陰性化し,そのうち8例(8/11の73%)がHBs抗体陽性となった.HBs抗原非陰性化に比べてHBs抗原陰性化群では,肝炎発症時のALT, ASTが高値であったが(p=0.011, p=0.019),CD4/CD8リンパ球数は両群間において差を認めなかった.これら症例の肝炎非発症時,ALT上昇時,肝炎鎮静化後などの時点における血清Th1/Th2サイトカインを網羅的に測定中である.[考察] HIV/HBV共感染例では,肝炎発症以前から肝炎後のHBs抗原陰性時期までの経時的なモニタリングが可能である.したがってHBs抗原排除に関連するサイトカインの解析が可能と考えられ,今回の検討によりHBs抗原制御の一端を明らかとしたい.またPEG-IFN治療効果もサイトカインの面から解析する予定である. |
索引用語 |
HBV, サイトカイン |