セッション情報 |
パネルディスカッション3(消化吸収学会・消化器病学会合同)
機能性食品や補助食品の消化器疾患における役割
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タイトル |
消PD3-2:梅の実摂取習慣が及ぼすH. pylori(HP)関連胃炎抑制と胃食道逆流症状改善効果
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演者 |
前北 隆雄(和歌山県立医大・2内科) |
共同演者 |
榎本 祥太郎(和歌山県立医大・2内科DELIMITER和歌山健康センター), 加藤 順(和歌山県立医大・2内科) |
抄録 |
【目的】HP関連胃炎や胃食道逆流症状には,個々の生活習慣,特に食事の関連が想定される.以前,我々は梅肉エキスの抗HP作用を報告した.今回,健常成人を対象として,梅の実摂取習慣によるHP関連胃炎抑制および胃食道逆流症状改善効果に関して検討した.【方法】検討1:梅の実摂取習慣及び血清抗HP IgG抗体価を測定した1358人(男586:女772 平均54.6歳)を対象とし,梅の実摂取が血清抗HP IgG抗体価に及ぼす影響を検討した.うち68人に胃内視鏡検査および生検を行い,組織評価を行った.検討2:梅の実摂取習慣及びFSSGの問診を聴取した1473人(男652:女772 平均57.7歳)を対象とし,梅の実摂取が胃食道逆流症状改善に及ぼす影響を検討した.【成績】検討1:梅の実低摂取群(毎日3個未満)に比し,高摂取群(毎日3個以上)のほうが,血清抗HP IgG抗体価の平均値は,有意差はないが低い傾向であった. 非高齢者において検討を行ったところ,梅の実高摂取群のほうが,低摂取群よりも,血清抗HP IgG抗体価は有意に低かった(P=0.041).内視鏡検査を施行した68人の検討で,梅の実摂取習慣は,組織学的胃炎の活動度を低下させ,胃の萎縮性変化を軽減する事が示された.検討2:梅の実高摂取群(毎日1個以上)では,低摂取群(毎週4個以下)よりもFSSG総スコアは有意に低かった(P=0.004).次にFSSG12項目を酸逆流関連7項目と運動不全関連5項目で検討したところ,酸逆流に関連する有症状者数は,有意差はないが高摂取群のほうが低摂取群より少なかった(P=0.125).また運動不全に関連する有症状者数は,高摂取群のほうが低摂取群より有意に少なかった(P<0.001 ).この傾向は高齢者よりも非高齢者においてより顕著であった.【結論】梅の実摂取習慣は,HP関連胃炎を抑制することにより,慢性萎縮性胃炎進展を抑制し得る可能性がある.また,胃食道逆流症状,特にディスペプシア症状の改善効果が期待できる. |
索引用語 |
梅, 胃食道逆流症状 |