セッション情報 パネルディスカッション3(消化吸収学会・消化器病学会合同)

機能性食品や補助食品の消化器疾患における役割

タイトル 消PD3-3:

非アルコール性脂肪肝に対するβ-クリプトキサンチン高含有果汁飲料の有用性の検討

演者 松浦 文三(愛媛大大学院・地域生活習慣病・内分泌学)
共同演者 三宅 映己(愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学), 恩地 森一(愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学)
抄録 β-クリプトキサンチンは,抗酸化作用を有するカロテノイドの一種であり,温州ミカンに特徴的に含有される.演者らは,非アルコール性脂肪肝炎(NASH),単純性脂肪肝(SS),健常ボランティアのカロテノイドに関する症例対象研究で,NASHではSSに比し,β-クリプトキサンチン,レチノールの摂取量および血中濃度が有意に低下していることを報告した.今回,β-クリプトキサンチン高含有果汁飲料を作成し,非アルコール性脂肪肝例に投与し,その有用性を検討した.【対象と方法】書面により同意の得られた症例を無作為割付にて,β-クリプトキサンチン高含有(3mg/pack,みかん3個に相当)飲料群20例(NASH 9例,SS 11例),プラセボ飲料群19例(NASH 8例,SS 11例)を対象とし,3か月間の介入試験を実施した.試験飲料は両者ともに温州みかん果汁から作成し,1パック/日,1パックあたり容量125mlで,カロリーは55kcal(みかん1個に相当).投与前,1,2,3か月後の食事調査を実施するとともに,血中カロテノイド値,身体計測値,内臓脂肪量,血液生化学検査値を測定した.【結果】NASH例では,β-クリプトキサンチン高含有飲料群はプラセボ飲料群に比して,有意な血中AST,ALT,γ-GTP,ChEの改善,HOMA-Rの改善が見られ,SS例では,β-クリプトキサンチン高含有飲料群はプラセボ飲料群に比して,有意なγ-GTPの改善がみられた.HbA1cは,β-クリプトキサンチン高含有飲料群,プラセボ飲料群ともに有意な悪化は見られなかった.β-クリプトキサンチン高含有飲料群では,血中の酸化ストレス系の酸化LDLの改善,酸化ストレス抑制系のSODの上昇がみられた.【結論】β-クリプトキサンチン高含有果汁飲料は,糖尿病の悪化を来さず,非アルコール性脂肪性肝障害の改善に期待できる.
索引用語 NAFLD, β-クリプトキサンチン