セッション情報 |
パネルディスカッション3(消化吸収学会・消化器病学会合同)
機能性食品や補助食品の消化器疾患における役割
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タイトル |
消PD3-9追:C型慢性肝炎,肝細胞癌とn-3系多価不飽和脂肪酸の関連について
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演者 |
田中 寛人(和歌山県立医大附属病院紀北分院・内科) |
共同演者 |
有田 幹雄(和歌山県立医大附属病院紀北分院・内科) |
抄録 |
【はじめに】エイコサペンタエン酸(EPA),ドコサペンタエン酸(DHA)などのω-3系多価不飽和脂肪酸は,炎症に対して抑制的に働くことが報告されている.さらに,肝細胞癌(HCC)発症に対して予防的に働く可能性が動物実験で示されている.今回,C型慢性肝炎,HCC患者の脂質,脂肪酸プロファイルを測定し,病態との関連を評価したので報告する.【対象と方法】対象は,C型肝炎患者24例とHCC患者12例で生活習慣病患者22例をコントロールとした.各患者群は,担癌状態であっても外来通院可能で,同地域であり食生活に大きな隔たりはなく,EPA製剤などのサプリメントは摂取していない方を対象とした.方法は,外来受診時の空腹時に脂肪酸プロファイルは,EPA,DHA,アラキドン酸(AA)を測定した.また,同時に血液検査を行い関連を評価した.【結果】各患者群では,年齢に差を認めなかった.コントロール群とC型肝炎患者群の比較においてASTとALTは有意にC型肝炎患者群で高く,アルブミン,LDL-C,血小板は有意に低かった.EPA,DHAとEPA/AAは有意にC型肝炎患者群で低かった.コントロール群とC型肝細胞癌患者群の比較においてASTとALTは有意にC型肝細胞癌患者群で高く,LDL-C,HDL-C,アルブミンと血小板は有意に低かった.EPA,DHA,AAとEPA/AAは有意にC型肝細胞癌患者群で低かった.【考察】EPAやDHAは,代謝産物が炎症に抑制的に働くと考えられており,EPAやDHAが有意に低下していたことは,炎症を改善するように代謝消費されていた可能性が考えられる.同様な所見が肝細胞癌においても認められ,EPAとDHAの低下の度合いは強く炎症を改善するように代謝されただけでなく癌進展にも抑制的に代謝されたものと推測された.これらの低下は,C型慢性肝炎,肝細胞癌患者に対してn-3系多価不飽和脂肪酸の補充の必要性を示唆する.【結語】EPAと DHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸は,C型慢性肝炎,肝細胞癌へと病態が進行するにつれて血中から有意に低下していた. |
索引用語 |
n-3系多価不飽和脂肪酸, 肝癌 |