セッション情報 |
パネルディスカッション3(消化吸収学会・消化器病学会合同)
機能性食品や補助食品の消化器疾患における役割
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タイトル |
吸PD3-10:伝統的発酵食品ふなずし由来新規プロバイオティクスの樹状細胞を介した大腸炎抑制機序
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演者 |
岡田 義清(防衛医大・2内科) |
共同演者 |
都築 義和(防衛医大・2内科), 三浦 総一郎(防衛医大・2内科) |
抄録 |
【目的】現在,炎症性腸疾患(IBD)の予防および治療に供されているプロバイオティクスは,腸管あるいは乳製品より単離された菌が多くを占める.演者らは,伝統的発酵食品「ふなずし」より新規プロバイオティクスを単離・同定した(Lactobacillus buchneri s193株およびparabuchneri s292株).今回,これらの菌株の大腸炎抑制効果とその機序を検討した.【方法】s193株およびs292株をC57BL/6系マウスに7日間,経胃投与した.対照として乳製品由来のL.gasseri(LG)を同様に投与した.その後,3.0%DSS投与により大腸炎を誘発させ大腸炎抑制効果を評価した.また,腸間膜リンパ節よりCD11c+樹状細胞を単離し,各種サイトカインのmRNA発現について検討した.さらに,同マウスより骨髄由来樹状細胞(BMDC)を誘導し,前述の乳酸菌株を作用させた.【成績】s193株およびs292株は,DSS投与によって上昇した腸炎スコアをLGに比し有意に低下させた.大腸組織中のmRNA発現量は,IL-17AがLGに比し,有意に減少していたが,IL-10に有意な差はなかった.また,s193株およびs292株投与群では,IL-27およびTGF-βmRNA発現量が特異的に上昇していた.IL-27およびTGF-βmRNA発現量は,腸間膜リンパ節より単離されたCD11c+樹状細胞も同様に上昇していた.in vitroにてs193株およびs292株をBMDCに反応させたところ,IL-27産生量がLGに比し有意に上昇していた.【結論】伝統的発酵食品ふなずしより単離された新規ラクトバシルス属菌2株は,乳製品由来プロバイオティクスであるL.gasseri(LG)よりも強力にマウスDSS大腸炎を抑制した.その作用機序を検討したところ,抗炎症サイトカインIL-10産生増強に加えて樹状細胞にIL-27およびTGF-β産生を惹起させることで,より強い抗炎症効果を発揮したと考えられた. |
索引用語 |
プロバイオティクス, 樹状細胞 |