セッション情報 パネルディスカッション3(消化吸収学会・消化器病学会合同)

機能性食品や補助食品の消化器疾患における役割

タイトル 消PD3-11:

難治性下痢症例に対するシンバイオティクス療法の有用性についての検討

演者 福泉 公仁隆(国立九州医療センター・消化器内科)
共同演者 原田 直彦(国立九州医療センター・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 [目的] NST介入患者に,抗生剤起因性下痢や経腸栄養による難治性下痢を経験する.難治性下痢を示した症例に対してシンバイオティクス療法を行い,有用性について検討する[対象,方法] 2010/5/1~2012/12/31に当院NSTで介入した538名中,重症腸管感染症や急性循環不全の合併がなく難治性下痢を示した22例(男性6名,女性16名 平均年齢 69.5±16.8才)にシンバイオティクス療法を導入,その有用性について検討する.プレバイオテイクスとしてサンファイバー(グアーガム(株)太陽化学)1~2包/日,イサゴールゼリージュース(サイリウム種皮含有食品(株)フィブロ)1-2包/日,GFO(大塚製薬)3包/日を使用.プロバイオティクスとしてビフィズス菌末BB536(株)クリニコ)1-2包/日を用いた.下痢の原因は経腸栄養14名,慢性GVHD3名,膠原病(ループス腸炎,腸管型ベーチェット病,強皮症)3名,短腸症候群1名,CD関連下痢症1名であった.シンバイテイクス療法開始前後の排便回数,ブリストル便性状スケール,アルブミン値,CRP,転帰について検討する.[結果] NST介入期間57.9±46.8(21-167)日.入院時主病名は呼吸器疾患6名,脳神経疾患4名,膠原病4名,血液疾患4名,消化器疾患4名.介入前後の便性状はタイプ6.6→4.6に改善,平均排便回数6.7→1.4回/日へ有意に減少.血清アルブミン値2.4→2.7mg/dl,CRP値5.1→2.4mg/dlと改善を認めた.同療法導入後は静脈栄養は減少,経口摂取可能症例が増加した.転帰は,転院(改善)15名,自宅退院3名,改善のため終了1名,原疾患の増悪により3名が死亡した.[考察,結論] 全科型NST介入下での難治性下痢症例に対してシンバイオティクス療法を導入した.便性状や排便回数の改善を認め,栄養管理上も有用であることが示唆された.
索引用語 難治性下痢, シンバイオティクス