セッション情報 |
パネルディスカッション3(消化吸収学会・消化器病学会合同)
機能性食品や補助食品の消化器疾患における役割
|
タイトル |
消PD3-12:経腸栄養時の下痢に対する卵黄レシチン配合流動食の効果
|
演者 |
明石 哲郎(済生会福岡総合病院・内科) |
共同演者 |
武藤 彩乃(キユーピー(株)・研究開発本部), 高橋 俊介(済生会福岡総合病院・内科) |
抄録 |
【目的】経腸栄養中に下痢の発生は多い.卵黄レシチンは機能性脂質で天然の乳化剤として使用されている.低pH条件下でもエマルションが壊れにくく,乳化状態が安定しているため胃酸による乳化破壊がなく下痢改善に関与すると考えられる.その効果を(1)脂質吸収の影響を胆管結紮ラット(2)下痢改善効果を小腸広範囲切除ラットで検討した.また(3)経腸栄養時の下痢に卵黄レシチン配合のジャネフK-2S,K-LECに変更した症例を検討した.【方法】(1)6週齢SD系雄ラットを卵黄レシチン,大豆レシチン,合成乳化剤で乳化した脂質含量20%試料を10g/kg体重毎,胃ゾンデで単回投与した.投与前,後2,4,6,8時間に血清TGを測定.1週間後,胆管結紮手術後に同様に測定した.(2)7週齢SD系雄ラットの小腸をトライツ靭帯の下方10cmから約40cm切除し,5日の回復期間後,卵黄レシチンもしくは合成乳化剤配合流動食を摂食量をあわせ10日間給餌し,後半5日間の糞の性状を観察した.(3)2009年1月-2010年5月にK-2Sを7例,2011年4月-2012年7月にK-LECを23例に使用した.【結果】(1)健常時のTGの濃度-時間曲線下面積(IAUC)は卵黄レシチン,大豆レシチン,合成乳化剤の3群間で有意差なし.胆管結紮時のTGは卵黄レシチン群が2時間目で合成乳化剤よりも有意に高値を示し,2時間目,4時間目で大豆レシチン群よりも有意に高値であった.IAUCも卵黄レシチン群が大豆レシチン群と比較し高値傾向(p=0.05)であった.(2)合成乳化剤配合流動食群は泥状便または水様便で,摂取期間中下痢傾向だった.卵黄レシチン配合流動食群は最終日には普通便の個体もみられ,下痢改善認めた.(3)投与量は変更前とほぼ同量.下痢改善はK-2Sは7/7例,K-LECは22/23例で認めた.改善までの日数はK-2Sは平均2.6日,K-LECは1.2日と早期に改善した.【結論】卵黄レシチンによる乳化は脂質吸収に優れ,小腸広範囲切除ラット,臨床例でも下痢改善を認めた.卵黄レシチン配合流動食は流動食の変更のみで簡便に早期に効果がえられる方法と考えられた. |
索引用語 |
卵黄レシチン, 下痢 |