セッション情報 |
パネルディスカッション4(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝疾患の基礎・臨床の最前線
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タイトル |
肝PD4-8:自己免疫性胆管病変に対するトリテルペノイドの有効性
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演者 |
池嶋 健一(順天堂大・消化器内科) |
共同演者 |
内山 明(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症には自己免疫性の機序が想定されているが未だその詳細は不明であり,ウルソデオキシコール酸(UDCA)の治療効果も限定的である.私たちはトリテルペノイドのウルソール酸(UA)が肝線維化抑制作用を有し,胆管結紮による肝内胆汁うっ滞に対しても改善効果を示すことを明らかにしてきた.そこで本研究では,自己免疫性胆管病変に対するUAの実験的治療効果を検証した.【方法】雌性8週齢C57Bl/6マウスにpoly I:C(5 μg/g)を週2回24週間腹腔内投与することにより,自己免疫性胆管炎を惹起した.Poly I:C投与開始16週の時点から,0.05%UA含有飼料ないしコントロール飼料を摂食させた.肝組織像を評価するとともに,血清ALP値および総胆汁酸を測定した.また,肝組織中のTNFα,CCL2,α1(I)procollagen(COL1A1),FXRおよびアニオントランスポーター各分子のmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法で解析した.【成績】poly I:C投与16週の時点で門脈域の胆管周囲にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤を認め,24週ではより明瞭な胆管炎が形成されたが,UA投与群ではこれらの組織学的変化が著明に軽減された.実際,16週時点で認めたALP値および総胆汁酸の上昇はUA投与により有意に低下した.肝組織中のTNFαおよびCCL2 mRNAはpoly I:C投与後経時的に上昇したが,UA投与で約1/2に低下した.また,poly I:C投与後にはMRP2,MRP3,NTCP mRNAは経時的に減少したが,UA投与で有意に低下が抑制された.一方,FXR mRNAもpoly I:C投与で減少したが,UA投与群でもほぼ同様の値を示した.さらに,poly I:CによるCOL1A1 mRNA上昇もUA投与で約1/2に抑制された.【結論】UAがpoly I:Cで惹起される自己免疫性胆管病変に対して改善効果を有することが明らかになった.UAは炎症性サイトカイン・ケモカインの発現抑制と共に,アニオントランスポーター発現を改善させるが,その作用はFXRとは異なる経路を介していると考えられた.トリテルペノイドはPBCの新規治療薬として有用である可能性が示唆された. |
索引用語 |
原発性胆汁性肝硬変, トリテルペノイド |