セッション情報 |
パネルディスカッション4(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝疾患の基礎・臨床の最前線
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タイトル |
肝PD4-11:原発性胆汁性肝硬変の病態,治療別予後解析:高齢者と非高齢者の比較検討
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演者 |
浪崎 正(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
共同演者 |
吉治 仁志(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
抄録 |
【目的】高齢化社会の進行とともに高齢者の原発性胆汁性肝硬変 (PBC) が増加しているが,予後規定因子については未だ明らかではない.我々はこれまでに,高齢者PBC患者では非高齢者に比べて診断時に進行例が多く重篤な臨床所見が有意に高率であることを報告してきた.そこで今回は,PBCの予後規定因子について高齢者と非高齢者に分け比較検討を行った.【方法】当科で病理学的にPBCと診断し得た122例について肝生検時年齢が65歳未満の非高齢者と65歳以上の高齢者に分け,臨床病型,組織学的病期 (Scheuer分類),治療別の予後について解析した.【結果】対象患者の内訳は,非高齢者92例 (男/女=11/81:平均年齢 51.9±6.8 歳),高齢者30例(男/女=5/25: 平均年齢 70.0±4.1 歳)であり,平均観察期間は105.3ヶ月間であった.臨床病型別では,緩徐進行型が非高齢者で高齢者に比べて多く認められた(P<0.05).一方,門脈圧亢進型および肝癌 (HCC) 合併率は高齢者で非高齢者に比して有意に高率であった(P<0.01).病態別の予後解析において,非高齢者では肝不全型が緩徐進行型および門脈圧亢進型に比べ予後不良 (P<0.01)であると共に,肝硬変症例 (Stage 4),および自己免疫性肝炎 (AIH) 合併例が各々Stage 1-3,AIH非合併例に比し予後不良であった (共にP<0.01).一方,高齢者では,HCC合併が予後不良因子であった (P<0.05).さらに治療別に検討を行ったところ,ウルソデオキシコール酸 (UDCA)+ベザフィブラート(BF) 併用投与の割合は非高齢者で有意に高かった (P<0.05).しかし,UDCA+BF併用投与はUDCA単独投与に比し高齢者,非高齢者とも有意な予後改善効果を示さなかった.【結論】高齢者と非高齢者ではPBC患者の予後規定因子が異なることが明らかとなった.治療に関しては,UDCA+BFが必ずしも予後改善につながらない可能性が示唆され,個々の症例に応じた早期からの治療介入が重要であると考えられた. |
索引用語 |
原発性胆汁性肝硬変, ウルソデオキシコール酸 |