セッション情報 パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

非侵襲的肝病態評価法の適応と限界

タイトル 肝PD5-6:

フィブロスキャン502による非侵襲的な慢性肝疾患の病態把握-有用性と限界について-

演者 斎藤 聡(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】フィブロスキャン502は1回の測定でliver stiffness measurement (LSM)とcontrolled attenuation parameter (CAP)が測定でき,肝硬度と脂肪定量が可能となっている.侵襲の高い肝生検にかわりうる非侵襲的検査法としてフィブロスキャン502の有用性と限界について検討した.【対象と方法】対象はフィブロスキャン502を施行した各種慢性肝疾患2412例と正常肝353例.フィブロスキャン502はMプローブ使用,10回測定,中央値を採用し,IQR30%以下.一部の症例ではXLプローブを併用.Bモードで皮下厚測定施行.【成績】1.正常肝:正規分布を示し,平均(95%タイル)はそれぞれ,LSM3.5(1.9-5.3)kPa ,CAP188dB/m(135-230).皮下厚は平均18mm,全例25mm未満で測定可能.2.C型慢性肝疾患(n=1666):LSMはそれぞれ,F1 4.8kPaF2 6.5kPa F3 9.8kPa F4 13.4kPa,肝硬変のカットオフ値を12.0kPaでAUROC0.92,治療介入でSVR後の肝硬変で20.0から8.5kPaへ以下.3.B型慢性肝疾患(n=456):肝硬変のカットオフ値を10.5kPaでAUROC0.88,治療介入の核酸アナログ3年以上継続使用にて肝硬変で14.2から7.1kPaへ低下.4.脂肪化評価(n=2985):LSMとCAPの相関はなし(r=0.21).脂肪化評価はNASスコアーに準じてS0:5%未満,S1:5-33%,S2:33-66%,S3:67%以上とすると,中央値(75%タイル)はそれぞれ,S0:201(233),S1:242(253),S2:272(296),S3:316dB/m .4.XLプローブ(n=96):Mプローブとの比較で皮下厚別のLSM差は15mm未満:+1.5kPa ,16-20mm:+0.3kPa ,21-25mm:-2.4kPa,26mm以上:-4.5kPaで,20mm以上ではMプローブはLSMが高く,7%が測定不能,XLプローブは全例測定可能.【結語】フィブロスキャン502は線維化と脂肪化評価が可能であるが治療介入による炎症鎮静化後は過大に低下し,炎症の影響を受ける.また,皮下が厚いとLSMが高く出るため,XLプローブが必要と考えた.
索引用語 liver stiffness measurement, controlled attenuation parameter