セッション情報 |
パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
非侵襲的肝病態評価法の適応と限界
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タイトル |
肝PD5-9:Virtual Touch Tissue Quantification(VTQ)を用いた発癌予測とIFN後の肝硬度
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演者 |
青木 智子(兵庫医大超音波センター) |
共同演者 |
西口 修平(兵庫医大超音波センター), 飯島 尋子(兵庫医大超音波センター) |
抄録 |
【目的】抗ウイルス療法により線維化が改善し発癌率が低下することが知られている.VTQによる発癌予測は可能か,抗ウイルス療法で肝硬度は変化するのか検討した.【方法】H20/10以降VTQと肝生検を行った853例(男404例,年齢57歳,HCV479例,HBV175例,NBNC190例)を対象とした.(1)VTQと新犬山分類を比較・検討し,(2)肝生検未施行の235例も加えて,年・性・脂肪肝・血液検査・剪断弾性波速度(Vs)のうち発癌に寄与する因子をロジスティック回帰分析で検討した.(3)IFN療法を受けたC型肝炎のうち治療前後でVsを評価できた116例を用いて,抗ウイルス療法による肝硬度の変化を検討した.【成績】(1)853例の平均VsはF0(72例)1.11m/s,F1(331例)1.18m/s,F2(148例)1.46m/s,F3(162例)1.57m/s,F4(168例)2.49m/sで,ROC曲線ではCutoff値1.61m/sで F0-3とF4を有意に判別できることが示された(感度:0.82,特異度:0.87).(2)1088例で発癌歴を従属変数として多変量解析を行うと,年齢(OR2.76/10年)・性別(OR0.205)・ヒアルロン酸(OR1.22/100ng/ml)・Vs(OR2.237/1m/s)・Plt(OR0.929/万/μl)・空腹血糖(OR1.195/10mg/dl)で発癌への寄与が示された.(3)C型肝炎116例(SVR57例,relapse21例,NR32例)全例でIFN前後のVsを比較したところ,Vs変化率-3.8±21.6%,p=0.063と肝硬度に変化を認めなかった.SVR(57例)に限定すると,IFN療法後に有意差を持って肝臓が柔らかくなっていた(Vs変化率-9.9±16.3%,p<0.001).IFN前後のVs変化率に相関する因子を単変量解析で検討すると,SVRで(vs NR,p=0.010),高血圧を有し(p=0.012),Albが低く(p=0.057),T-bilが高い(p=0.003)症例で肝臓が有意に柔かくなることが示された.重回帰分析では同様にSVR,Alb,T-bilで有意差が示され(p≦0.006),SVRであることがVsの変化に最も強く影響することが示された.【結論】VTQは線維化をよく反映しており,高齢で肝臓の硬い症例では発癌しやすく注意を要する.IFN療法によりSVRを得た症例では有意に肝臓が柔らかくなることが示された. |
索引用語 |
VTQ, IFN |