セッション情報 パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

非侵襲的肝病態評価法の適応と限界

タイトル 肝PD5-13:

Shear Wave Elastographyによる肝線維化の評価と限界

演者 多田 俊史(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 豊田 秀徳(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】 Shear Wave Elastography(SWE)が搭載され定量的に組織弾性をリアルタイムに測定・表示可能な次世代超音波診断装置Aixplorer(SuperSonic Imagine社製)を使用する機会を得たので,特に肝の線維化診断における臨床的有用性と限界について報告する.【方法】対象は当院でSWEを用いて肝の評価(びまん性肝疾患および肝腫瘍)を施行した402例中,肝生検もしくは肝切除が施行され,線維化ステージ(F0-F4)が判明し,かつSWEを用いて組織弾性を評価した慢性肝障害の患者228例を対象とした.【成績】 1)性別(男性/女性)は130/98例で,平均年齢は59.8±12.3歳であった.線維化ステージはF0/F1/F2/F3/F4の順に10/124/64/26/6例であった.背景肝はHBV/HCV/NASH/アルコール・他の順に26/156/22/24例であった.組織弾性値はF01/F2/F34の順に7.0±2.5/9.0±4.9/13.6±7.6kPaであった(P=0.01).続いて,F0-2とF34の鑑別に関してROC解析を行った結果,曲面下面積は0.83であった.またカットオフ値を7.5kPaとしたときの感度は87.5%,特異度は66.3%であった.2)HCV陽性156例の検討では組織弾性値はF01/F2/F34の順に7.0±2.3/9.6±4.3/14.7±8.7kPaであった(P=0.01).また曲面下面積は0.85であり,カットオフ値を7.7kPaとしたときの感度は88.9%,特異度は65.2%であった.3)患者の要因で評価が難しかった原因の内訳は皮下脂肪の肥厚,肝実質の不均一性,横隔膜の挙上,呼吸停止不良など20例であった.【結論】 SWEによる組織弾性値は肝の線維化がすすむにつれ有意に上昇していた.F0-2とF34との鑑別においては全体およびHCV例に関しても曲面下面積が0.8台であり,良好な結果であった.今後,特に線維化進行例の症例数を増やし,線維化ステージと組織弾性値の検討をすすめていくことが必要と考えられた.
索引用語 SWE, 肝線維化