セッション情報 パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

非侵襲的肝病態評価法の適応と限界

タイトル 肝PD5-14:

ソナゾイド造影超音波による肝病態評価の臨床的有用性

演者 松清 靖(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
共同演者 池原 孝(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 住野 泰清(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
抄録 肝臓の血流は機能規定因子の一つであり,特に門脈血は栄養源として重要であるが,豊富な肝予備能に支えられ,肝機能障害に関与することは少ない.ソナゾイド造影超音波で得られる肝実質血流所見の解析研究においては,この点が一つの限界ではあるが,病態評価の面では多くの示唆に富む所見が得られる(施設倫理委員会承認21-26).【対象・方法】肝病変を反映して変化する微小循環をソナゾイド造影超音波で解析検討した.早朝空腹時に肝実質造影超音波を施行した急性肝炎20例(A型1例,B型13例,C型1例,E型3例,AIH2例),アルコ-ル性肝障害32例,組織所見を得たC型慢性肝疾患162例を対象とした.装置は東芝AplioXG.造影超音波:ソナゾイド0.015ml/kgをボーラス静注後,肝・右腎のfirst passを30秒間記録しarrival-time parametric imageを得,さらにそれをperfusion parametric imageに変換後に画像解析ソフトで動脈化の程度を数値化・定量化し,肝実質の灌流動態を検討した.【結果】急性肝炎:急性期には17例全例が動脈化を呈し,第2病週には16例が健常と同様の門脈灌流パターンへと戻ったが,戻らなかった1例はLOHFへと進展した.アルコ-ル性肝障害:肝硬変(ALC)はC型LCより著明な動脈化を来していた.また経過観察例では飲酒すると動脈化するが,断酒して2-3週すると門脈灌流に戻るという所見が得られ,飲酒チェッカ-としての有用性が示唆された.C型慢性肝疾患:病変が進行すると動脈化が高度になり,線維化ステージと相関を示した.門脈圧上昇,門脈血流減少に対する代償性変化と考えられるが,さらなる類洞圧上昇を惹起する可能性があるため腹水,静脈瘤,脾腫と比較検討したところ,動脈化症例では腹水と静脈瘤が多い傾向が認められた.【まとめ】各疾患で認められる現象・メカニズムは多様であり,その解析は病変・病態の掌握に有用である.
索引用語 ソナゾイド造影超音波, 肝微少循環