セッション情報 パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-

タイトル 内PD6-2:

胃X線検査,胃内視鏡検査の胃がんリスク検診としての有用性に関する検討

演者 飯塚 政弘(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センター)
共同演者 相良 志穂(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センター)
抄録 【目的】Helicobacter pylori(HP)は胃癌の最も重要な危険因子であり,胃癌の多くはHP感染後に生じた萎縮性胃炎を母地として発生することより,血中HP抗体と血清ペプシノゲン(PG)を用いた胃癌リスク検診が近年注目されている.一方,胃がん検診として行われている胃X線検査(MDL)や胃内視鏡検査(GIF)のHP感染の診断能に関する検討も行われつつあるが報告例は少ない.今回,MDL,GIFの胃がんリスク検診としての有用性について検討を行った.【方法】平成23年4月―平成24年3月に当施設で健診を受診した10,924人のうち,胃がん検診(MDLまたはGIF)と同時にHP抗体検査またはPG検査を行った374人(MDL 200人,GIF 174人)を対象にMDL,GIFによるHP感染診断の精度を検討し・比較した.本検討ではMDL,GIFにより萎縮性胃炎と診断された場合HP感染ありと判定し,画像診断判定終了後,結果をHP抗体,PG検査結果と比較した.【結果】1.MDLのHP診断能:(1)HP抗体陽性+PG陽性例(30例)は全例(100%),HP抗体陽性+PG陰性例(23例)は91.3%,HP抗体陰性+PG陽性例(6例)では67%に萎縮性胃炎が認められた.PG検査未施行でHP抗体単独陽性例(41例)では97.6%に萎縮性胃炎が認められた.HP抗体,PGともに陰性例(45例)では萎縮性胃炎は8.9%に認められたのみであった.(2)HP抗体陽性例およびHP抗体陰性+PG陽性例をHP感染ありと考えた場合,MDLは感度95%,特異度91.1%,正診率93.8%でHP感染が診断できた.2.GIFのHP診断能:(1)HP抗体陽性+PG陽性例(22例)およびHP抗体陽性+PG陰性例(20例)では全例(100%)に萎縮性胃炎が認められた.PG検査未施行でHP抗体単独陽性例(76例)も全例(100%)に萎縮性胃炎が認められた.HP抗体,PGともに陰性例(35例)では萎縮性胃炎は5.7%に認められたのみであった.(2) GIFは感度100%,特異度94.3%,正診率98.2%でHP感染が診断できた.HP感染診断の感度はGIFがMDLより優れていた(p<0.05).【結論】MDL,GIFは胃がんリスク検診としても有用な検査と考えられた.
索引用語 胃内視鏡検査, 胃がんリスク検診