セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-
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タイトル |
内PD6-3:ピロリ菌による慢性萎縮性胃炎に対する胃X線検査・上部消化管内視鏡検査の診断能の比較
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演者 |
山道 信毅(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
光島 徹(亀田メディカルセンター幕張), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】ピロリ菌(HP)持続感染に伴う慢性萎縮性胃炎は胃癌の最大のリスクと考えられている.HP抗体価とペプシノゲン法を組み合わせた採血検査による胃癌リスク検診が注目されているように,胃X線検査(MDL)・上部消化管内視鏡(EGD)の双方においても,今後は胃癌発見のみならず,前癌病変であるHP慢性胃炎の正確な評価が,重要になると考えられる.【方法】千葉県の単一医療機関における2010年上半期人間ドック受診者のうち,研究参加同意が得られ,データ欠損・除菌歴・胃切除歴・酸分泌抑制剤内服のない者を対象として,MDL・EGDによる慢性胃炎判定と,血清ピロリ菌抗体価との比較解析を行なった.【成績】解析対象は,MDL群2804人(男性1651人,女性1153人,47.0±8.9歳),EGD群4980人(男性2920人,女性2060人,50.9±9.7歳)であった.EGD群のうち,HP慢性胃炎(萎縮性胃炎・慢性胃炎・鳥肌胃炎・化生性胃炎・肥厚性胃炎のいずれか1つ以上の所見)を認めたのは1782例(35.8%)であった.一方,MDL群ではHP慢性胃炎は816例(29.1%,軽度萎縮:100例,中等度萎縮:336症例,高度萎縮:380症例)に認められた.さらに,ピロリ菌抗体価と両群の胃炎を詳細に比較したところ,EGD判定HP胃炎(+):1782人(HP-IgG≧10:1402人,10>HP-IgG≧2.5:181人,2.5>HP-IgG:199人),EGD判定HP胃炎(-):3198人(HP-IgG≧10:272人,10>HP-IgG≧2.5:152人,2.5>HP-IgG:2774人),MDL判定HHP胃炎(+):816人(HP-IgG≧10:697人,10>HP-IgG≧2.5:40人,2.5>HP-IgG:79人),MDL判定HP胃炎(-):1988人(HP-IgG≧10:20人,10>HP-IgG≧2.5:66人,2.5>HP-IgG:1902人)であった.【結論】今後の胃癌検診に重要なHP慢性胃炎の判定においては,MDL群がEGD群と同等もしくは上回る可能性が示唆された. |
索引用語 |
萎縮性胃炎, 胃X線検査 |