セッション情報 パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-

タイトル 内PD6-5:

当院における上部消化管内視鏡健診の精度

演者 品川 和子(富山赤十字病院・消化器科)
共同演者 圓谷 明朗(富山赤十字病院・消化器科), 木元 春生(富山赤十字病院・健康管理センター)
抄録 【目的】当院任意健診における胃内視鏡健診を胃透視健診と比較し精度評価を行う.また内視鏡見逃し症例を抽出しその原因と対策を検討する.【方法】対象は2008年4月~2011年3月まで当院で内視鏡健診をうけた11583例,胃透視12835例.検討1:年齢・性別・要精査率・胃癌発見率を比較.検討2:内視鏡発見癌について過去3年以内に内視鏡検査を受け癌の指摘のないものを見逃し症例とし,見逃し症例の特徴を検討.【結果】検討1:平均年齢は内視鏡検査群54歳,胃透視群48歳.性別は内視鏡検査群F:M1:1.3,胃透視群1:1.8.要精査は内視鏡検査群4.3%,胃透視群9.3%.胃癌発見率は内視鏡検査群0.3%,胃透視群0.02%と内視鏡群で有意に発見率が高かった.内視鏡群では他に食道早期癌・異型4例,食道進行癌1例,黒色腫1例,胃腺腫5例,胃リンパ腫2例,十二指腸腫瘍6例発見した.検討2:内視鏡群発見胃癌は34例で進行癌3例(術後再発2例),早期癌31例であった.34例中初回検査での発見は11例,3年以内の当院内視鏡検査あり20例であった.20例中術後再発を除く19例を見逃し癌とした.見逃し癌の部位・形態・組織型に初回発見癌との差はなし.ただし深達度はm癌14例,sm1癌2例,sm2癌1例,詳細不明2例も早期で早期癌のみだった.サイズ中央値13mmとやや小さいものの有意差なし.19例中14例は内視鏡的根治が得られた.偽陰性率は,56%であった.見逃し要因は病理陰性が1例,写っているが認識していないもの8例,検討不能(体部大湾・前庭部小湾の粘液貯留および体部小湾の粘液付着・胃壁伸展不良による)7例,見直してみても認識できないものは3例のみであった.【結論】内視鏡健診は胃透視と比較し胃癌発見率が高く,逐年検査を受けることで早期の発見が可能で早期治療により根治が得られた.内視鏡見逃し例の要因として基本的な手技の注意不足が半数,真の見逃しが半数で丁寧な観察と見逃しやすい癌の特徴を認識し健診を行うことでさらに精度の高い検査が期待できる.
索引用語 胃癌, 内視鏡健診