セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-
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タイトル |
検PD6-6:胃がん検診における内視鏡検査の有効性と対策型検診への導入方法について
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演者 |
赤羽 たけみ(奈良県健康づくりセンター) |
共同演者 |
福居 健一(奈良県健康づくりセンター), 大石 元(奈良県健康づくりセンター) |
抄録 |
【目的】人間ドックにおける内視鏡検診の現状と有効性を検討し,対策型胃がん検診における内視鏡検診の導入方法について考察した.【方法】2009年から2011年に当センター人間ドックを受診し上部消化管検査を受けたのべ25,595名(内視鏡1,357名,X線24,238名)のうち胃癌発見症例27例(内視鏡13例,X線14例)を対象とし,内視鏡検診の有効性をX線検診と比較し検討した.【成績】全受診者の平均年齢は内視鏡55.0±9.8歳,X線51.3±9.1歳,慢性胃炎罹患率は内視鏡57.2%,X線43.6%でそれぞれ有意差を認めた.胃癌発見率は,内視鏡が0.98%でX線の0.058%に比べて有意に高値であった.胃癌症例の平均年齢は,内視鏡が62.2±4.9歳でX線57.4±6.5歳に比し高値であった.早期癌率は内視鏡84.6%(11例),X線85.7%(12例),M癌率は内視鏡69.2%(9例),X線50.0%(7例),内視鏡治療施行率は内視鏡53.8%(7例),X線35.7%(5例)でいずれも有意差を認めなかった.検診受診歴は,1年前の受診が内視鏡9例(前回内視鏡4例,X線5例),X線10例(前回全例X線)であった.前回今回とも内視鏡検査を受けた4例の平均腫瘍径は10.3±4.8mmで前回にX線検査を受けた15例の平均腫瘍径23.7±12.6mmに比べて有意に小さく,4例ともに内視鏡治療が施行された.一方,前回にX線検査を受けた15例では6例に内視鏡治療が施行されたのみであった.55歳以上の胃癌症例は22例(81.5%)で,背景粘膜は全例萎縮性胃炎C-3(木村・竹本分類)以上で21例(78%)がopen typeであった.【結論】内視鏡検診は胃癌発見率が高率で,毎年おこなうことでより小さな病変を発見することができ,内視鏡治療が可能な胃癌の発見に有用であることが示唆された.また,55歳以上かつopen typeの萎縮性胃炎は,胃癌のハイリスクグループであることから,対策型胃がん検診における内視鏡検診の対象とするのが適切であると考えられた. |
索引用語 |
胃癌, 内視鏡検診 |