セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-
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タイトル |
内PD6-7:当院人間ドックにおける胃がん検診の現状と問題点
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演者 |
西俣 伸亮(南風病院・消化器内科) |
共同演者 |
松田 彰郎(南風病院・消化器内科), 島岡 俊治(南風病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当院人間ドックにおける胃がん検診症例において見えてきた現状と問題点について臨床的検討を行った.【方法】2005年から2012年の8年間に当院人間ドックで上部消化管検査を行った14086例を対象とし内視鏡検査を選択した9706例(A群)とX線検査を選択した4380例(B群)とに群分けし,それぞれ胃がんと診断された症例を対象とした.両群についての患者背景,前年度の検査施行の有無,胃癌発見率,発見された胃がんの進行度,治療成績等について検討を行った.【結果】平均年齢はA群で48.55歳,B群で47.43歳だった.A群で1:0.257,B群で1:0.364の男女比であった.がん発見率はA群で11例(0.11%),B群で2例(0.04%)であり,占拠部位はU,M,L領域それぞれA群で3:2:6,B群で0:1:1だった.発見癌は両群とも全例肉眼型がIIcの早期癌で,A群で2例,B群で1例がSM癌,残りはM癌だった.大きさはA群で平均16.6mm(3-75mm),B群で平均18.5mm(7-33mm)で治療法はESDが9例,外科的手術が4例で全例一括完全切除,手術症例はリンパ節転移も認めなかった.また発見胃癌13例中,前年度も検査を施行した症例は9例,3年前に検査を施行した症例が1例あり,いずれもA群のみであった.それらをI群:前回検査では存在診断も質的診断も困難であった群,II群:前回検査で存在診断は可能だが質的診断は困難であった群,III群:前回検査で病変が十分に撮影されていないため遡及的検討が困難であった群の3群に群分けし検討を行なった.I群,II群,III群それぞれ5:4:1であった.そのうち8例が内視鏡検査例で全例粘膜の発赤の強い胃炎を伴っていた.【結論】胃がん検診の発見率は,内視鏡検査群がX線検査群より高い傾向にあった.内視鏡検診群において遡及的な検討ができた例は全例高度の胃炎症例で,うち5例(50%)は質的診断のみならず存在診断も困難であった.胃がん検診においての内視鏡検査はX線検査のような標準化や精度管理の徹底が重要であると考えられる. |
索引用語 |
胃がん検診, 内視鏡検診 |