セッション情報 パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-

タイトル 検PD6-8:

多施設内視鏡検診における3次読影(当医師会方式)の取り組み(ダブルチェックで本当に大丈夫か?)

演者 大野 健次(金沢市医師会DELIMITER城北病院・内科)
共同演者 鍛治 恭介(金沢市医師会), 竹田 康男(金沢市医師会)
抄録 【はじめに】金沢市は08年に内視鏡検診を開始し独自の方法として1次読影(かかりつけ医),2次読影(日本消化器内視鏡学会専門医を中心とする専門医40~59名),3次読影(レフリー読影 精度管理委員会が認定した5名)の方式をとっている.【対象】08年から5年間で52540 件,参加施設は94~103で発見癌は172例(0.33%).【方法】3次読影は1次か2次で要精検もしくは生検を行なった全例が対象で5723件全体の10.9%であった.1次,2次,3次における癌発見率,要精検率,陽性適中率,一連の検診の中で発見された胃癌を100としてそれぞれの見逃し率について検討を行なった.陽性的中率は,生検の有無にかかわらず発見胃癌/要精検を%であらわしたものと定義した.生検率は初年度11.8%年々低下し5年目は7.0%であった.【結果】1次の癌発見率は0.30%(157例),要精検率(悪性疾患と診断したものもしくは再検査としたもの)は1.1%,陽性適中率29.2%,見逃し率8.7%(15/172),2次はそれぞれ0.30%(159例),2.2%15.9%,7.6%(13/172),3次はそれぞれ0.31%(164例),1.2%21.1%,4.7%(8/172)であった.1次と2次,2次と3次,1次と3次の要精検数は各々有意に異なっていた(p< 0.0001,χ2乗検定.)要精検率は1次が最も低く,陽性適中率も1次が最も高かったが,見逃し率は3次が最も低かった.1次の精検不要(異常なし,要注意)を 2次で要精検に変えた869例から10例(1.2%)の胃癌が発見され,逆に1次の要精検を2次で精検不要にした246例から8例(3.3%)の胃癌が発見. 2次によって1次で見逃された胃癌10例が発見されたが逆に見逃しも8例あった.1次の精検不要をレフリー で要精検に変えた252例から9例(3.6%)の胃癌が発見され,逆に1次の要精検をレフリーで精検不要にした622例から2例(0.3%)の胃癌が発見された.3次まで行うことによって,9例を発見したが2例 (2例とも1次判定では要精検だった)を見逃した.【考察】2次では要精検からの発見癌は1次に比べて 2例の上乗せ効果はあったものの要精検率,陽性適中率に問題を残しレフリー読影(3次)は精度管理上必要であり2次読影のばらつきを調整するのが急務と思われた.
索引用語 胃癌内視鏡検診, 精度管理