セッション情報 パネルディスカッション6(消化器がん検診学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の有効性と精度の現状-X線検診 vs 内視鏡検診-

タイトル 検PD6-9指:

内視鏡検診とX線検診の感度比較

演者 濱島 ちさと(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター・検診研究部)
共同演者 謝花 典子(山陰労災病院・消化器内科)
抄録 【目的】胃がん検診の新たな方法として内視鏡検診の有効性は未だ確立しておらず,感度の報告も少ない.内視鏡検診がX線検診に比しがん発見率が高いことが報告されているが,過剰診断を含む可能性がある.過剰診断の影響を除外するために開発された発生率法を用いて,内視鏡検診とX線検診の感度を比較した.【方法】2002年4月から2007年3月までの鳥取県米子市の40~79歳胃がん検診受診者56,676人から,胃がんの既往,検診方法不明,不規則受診を除外した.さらに,2年間受診のない初回受診群と前年度同じ検査による受診歴のある継続受診群に分けて,診断法と発生率法により感度を算出した.検診結果が「精密検査不要」(検査陰性)と判断され,受診日から1年以内発見されがんを中間期がんと定義し,鳥取県がん登録により確定した.【成績】初回受診群の対象は内視鏡7,388人,X線5,410人,継続受診群は内視鏡18,021人,X線11,417人であった.初回受診群の発見がんは内視鏡64人,X線25人,継続受診者は内視鏡86人,X線23人であった.初回受診の内視鏡検診の感度は,診断法0.955 (95%CI:0.875-0.991),発生率法0.886 (95%CI:0.698-0.976)であった.継続受診の内視鏡検診の感度は,診断法0.977 (95%CI:0.919-0.997),発生率法0.954 (95%CI:0.842-0.994)であった.X線検診では,初回検診の感度は,診断法0.893 (95%CI:0.718-0.977),発生率法0.831 (95%CI:0.586-0.964)であった.継続受診におけるX線検診の感度は,診断法0.885 (95%CI:0.664-0.972),発生率法0.855 (95%CI:0.637-0.970)であった.【結論】診断法,発生率法のいずれを用いても内視鏡検診の感度はX線検診より高かった.
索引用語 胃内視鏡検診, 感度