セッション情報 パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

IPMN新コンセンサス診療ガイドラインの検証

タイトル 外PD7-1:

2012年IPMN診療ガイドラインの検証 ―多施設,多数切除例の解析から―

演者 清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科)
共同演者 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科), 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】我々は多施設・多数切除例の検討でIPMN癌予測因子ついて報告した (Pancreas 2013).今回は新ガイドライン治療方針の妥当性を含めて検討した.【対象】1996年~2011年3月に当院および共同研究施設でCT,EUSを施行し切除した310例を対象とした.【方法】1. 年齢,性,症状,術前血液検査値(アミラーゼ,CA19-9,CEA),画像所見 (部位,主膵管径,嚢胞分枝径,壁在結節径)の10因子を解析し,癌予測因子をretrospectiveに検討した.壁在結節径(ND)はEUS測定を必須,主膵管径(MPD)と嚢胞分枝径(BPD)はCT測定値を全例で採用した.良悪性の病理診断が問題となる症例はcentral reviewをおこなった.2. 新ガイドラインに準じMPD≧5mmをMD-IPMN,BPD≧5mmをBD-IPMN,両者の基準に合致するものをMix-IPMNと分類した.worrisome features (WF)とされる5mm≦MPD<10mm or BPD≧30mmの症例で結節と病理所見について検討した.【結果】1. 病理診断は癌160例(浸潤42例,微小浸潤18例,非浸潤100例),腺腫150例であった.多変量解析ではND(p<0.0001),MPD(p=0.0347),BPD(p=0.0277) が独立した予測因子で,ROC解析で3因子のAUCは各々0.798,0.643,0.601であった.結節は240例(240/310=77%)に描出され,NDカットオフ値を7mmとした場合,癌の診断は感度74.3%,特異度72.7%であった.結節のない癌は15例(15/160=9%)で非浸潤癌14例,浸潤癌1例であった.2. MD-IPMN 51例(癌24例,53%),Mix-IPMN 159例(癌97例,61%),BD-IPMN 100例(癌36例,36%)であった.MPD<10mmは221例でWF有り166例(癌91例,55%),WF無し55例 (癌13例,24%)であった.WF有り166例で結節有り128例(癌81例,63%),無し38例(癌10例,26%)であった.【結論】1. 結節は77%に描出されND≧7mmで感度・特異度とも良好であった.2. CTでWF有りの症例は,ガイドラインに準じEUSを施行し結節の有無で治療方針を決定することは妥当と思われた.
索引用語 IPMN癌予測因子, IPMN診療ガイドライン