セッション情報 パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

IPMN新コンセンサス診療ガイドラインの検証

タイトル 消PD7-5:

IPMN国際診療ガイドライン2012年度版の検証 ~EUSの位置づけはどこにあるか?~

演者 鎌田 研(近畿大・消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】IPMN診療において,2012年国際診療ガイドラインの問題点を明らかにすること.【対象】2012年4月までに診断されたIPMN 572例うち,外科切除例42例と1年以上の経過観察例(いずれも分枝型IPMN)180例を対象とした.【方法】切除例:術前にUS,CT,MRIおよびEUSを施行し,主膵管型および結節ありの分枝型IPMNを手術適応とした.主病変を病理組織学的にlow/high-grade dysplasia,微小浸潤癌および由来浸潤癌に分類し,微小浸潤癌以上を悪性と定義した.2012年国際診療ガイドラインで悪性を示唆する所見(分枝型では嚢胞径≧30mm,壁肥厚,主膵管径≧5mmおよび結節,主膵管型では主膵管径≧10mmおよび結節)の診断能を由来浸潤癌を除外した上で検討した.経過観察例:EUS,US,CTおよびMRIを組み合わせ,3~6ヵ月毎の経過観察を行った.悪性を示唆する変化を認めた場合,上記4つの画像診断すべてを行った.【結果】切除例:病型は分枝型21例,主膵管型21例で,low/high-grade 31例,微小浸潤8例,由来浸潤癌3例であった.由来浸潤癌の3例は,膵実質内の乏血性腫瘍として明瞭に描出された.結節検出率は,EUSで最も高く95%であった.分枝型IPMNにおいて,壁肥厚は感度100%,特異度61%,嚢胞径≧30mmは感度33%,特異度83%,主膵管径≧5mmは感度67%,特異度72%であった.主膵管型IPMNにおいて,主膵管径≧10mmは感度80%,特異度69%であった.経過観察例:観察期間中央値は54ヵ月.IPMN由来癌は1例にも発生しなかったが,通常型膵癌は8例(4%)に発生した.平均腫瘍径は15mmであり,EUS,US,CTおよびMRIの描出率はそれぞれ100%,13%,38%および38%であった.通常型膵癌発生時の平均嚢胞径は13mm,主膵管径は4mmであった.【結語】EUSは結節検出能に優れている.分枝型IPMNにおける嚢胞径≧30mmおよび主膵管径≧5mmは感度が低いため,癌を拾い上げるための指標としては限界がある.経過観察中はガイドラインに示されていない通常型膵癌の発生が問題となり,EUSが早期発見に有用である可能性が示唆された.
索引用語 EUS, IPMN