抄録 |
【目的】新IPMN診療ガイドライン(GL)手術適応の悪性抽出率の検証と術前診断における造影EUSの有用性の検討【対象と方法】2012年12月までに当科で診断したIPMN456例中,手術施行158例をretrospectiveに解析した.GLの目的はより効率的に悪性例を診断し手術適応とすることでありその評価のために,1)適応階層毎に自験例での悪性抽出率を検討し,2)IPMN術前診断におけるMDCTと造影EUSの壁在結節(MN)診断能とMPD進展(GLのMPDinvolvement)診断能を比較した.当院の手術適応は,a)主膵管型(MDtype),b)造影EUSでMNを認める混合型(Mixed type)及び分枝型(BDtype),c)有症状例.GL手術適応はGLアルゴリズムに準じA)MDtype, B)BDtype (High-risk stigmata+),C)BDtype(Worrisome feature+造影EUS所見)とした.IPMN悪性例はIPMC及びIPMN浸潤癌とした.【結果】1)切除例はMD:Mixed:BD=21:36:101例.病理診断はIPMA:IPMC:IPMN浸潤癌=81:51:26例.GL手術適応階層別悪性抽出率(悪性率(症例数))はA)MDtype=80.9%(17/21), B)BDtype (High-risk stigmata+)=68.3%(43/63:IPMN浸潤癌の26例中25例を拾い上げ可能), C) BDtype(Worrisome feature+造影EUS所見)=34.5%(19/55)であり,worrisome featuresに加え,造影EUSによるMN診断25例およびMPD進展診断17例,ERP細胞診(擬陽性以上)13例が切除契機となった.全悪性例はA)-C)の基準で診断可能であった.2)全切除例におけるMN診断能はMDCT52.5%(83/158),一方造影EUSでは100%(158/158)であった.IPMCの19例では造影EUSでのみMNを診断可能であった.MDtype及びMixed typeにおけるMPD進展の診断能はMDCT33.3%(19/57)に対し造影EUSでは82.5%(47/57)であり造影EUSによるコントラスト分解能向上が高い診断能を示した.【結語】GLでは「結節」診断が重視されており,造影EUSによるMN診断,MPD進展診断は手術適応決定に有用である. |